0001風吹けば名無し
2023/09/14(木) 21:45:14.43ID:nCDdbZiZd「でさー、昨日忘れた傘が無くなってたわけー」「うわー辛いね」
東姫さんは今日もかわいい。くりくりした瞳に流れるような黒髪、そのどれもが目を引く。
ふと、思い出したかのように彼女は弁当箱から何かを取り出した。
それはさくらんぼだった。おおよそ昼のデザートだったのだろう。
「私ね、ベロでさくらんぼのヘタ結べるんだよ」
ぺろりとピンク色の舌を見せながら、東姫さんは扇情的に笑った。
「見せてよ」「うん、今からやってみせるね。んあー……」
そう言いながら、東姫さんは口を開く。その瞬間に一瞬だけ、口の中にねちゃあと唾液の糸が張った。その奥にあるぬったりした舌がさくらんぼを捉えると、あっという間に実へ絡みつく。唾液をたっぷり纏わせながらさくらんぼを少しばかりしゃぶると、甘い吐息と共に舌を妖艶にくねらせた。
ちゅばぁ……と音を立てて東姫さんが口の中からさくらんぼを引き抜くと、そのヘタは既に結ばっていた。
俺はごくりと唾を飲み込み、その場に立ち尽くす。
「んふっ……どう?すごいでしょ」
「うん……すごいエロかった」
「あははっ、ありがと」
今まで対して気にも留めていなかったが、東姫さんの舌は赤くてぬめぬめしていて、とてもいやらしい。唾液に濡れた赤い唇も、その口元すべてが。
「……それできる人って、キス上手いらしいよ」
それが何の疚しさもない言葉だったかと言われたら嘘になる。
東姫さんはわずかにきょとんとした顔をして、すぐにゆらりと笑った。それから俺のそばに寄り、体を密着させながら顔を近づけて色っぽく呟く。
「……されたいの?」
甘い吐息が吹きかけられる。彼女の手が俺の首に回されると、もう逃げることなどできない。