結局最後に泣くのは私だった
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私には友人Aという大変仲の良い友達がいました。
友人Aは優しくておおらかな性格で何よりも正義感が強い人でした。
毎日仕事に追われ怒号を浴びせられる日々が続いても、友人Aと一緒にいればそんな嫌な思い出もなくなるほど、彼は私にとって精神安定剤のようでもありました。
ある日、友人Aがこんなことを言い出します。
「私に彼女ができました」
始めは彼の言っている意味が解りませんでした。なぜなら、彼には女の影が一切見えなかったからです。
そして、その発言を聞いた私は物凄い勢いで孤独感を感じたと同時に、友人Aの彼女への強烈な嫉妬を覚えました。
この時私は初めて知ったのです。私は彼に恋をしているのだと。 それからというのも、あまり彼との関係にあまり変化はありませんでした。
彼は彼女という存在がいても、私への態度を一切変えなかったのです。
そこが唯一の救いでもあるように感じましたが、ただ一つ大きく変わったことと言えば私へ割く時間があきらかに減ったということでしょうか。
これまで毎日遊んでいたような友人が週に2,3日しか遊べないのです。
今思えば彼女がいた彼にとって週に2,3日というのは多い時間だったのかもしれません。
それだけじゃないのです。彼は彼女の話をよくするようになりました。 ここで先に断っておきますが、私は友人Aの彼女とは一切の縁はありませんでした。
それが余計に私の嫉妬心を燃やしてしまったのでしょう。
彼が彼女の話をするときは一段とテンションが高いような気もしました。
私はその彼女という存在がいったいどんな人で何が彼を惹きつけるのか気になりました。
気になりましたので、私は単刀直入に彼に聞きました。
「彼女はどういう人なの?是非私に会わせてくれないか?」
答えは想像していたよりも遥かにはやく帰ってきました。
「とてもじゃないけど君には会わせれないかな」
たったその一言で私は深く傷つきました。このことは一生忘れられない気がします。 そしてあの日から、彼は明らかに私への態度が豹変しました。
彼は私を冷たくあしらうようになり、私と遊べる日に現代ではいわゆるドタキャンというものも立て続けにするようになりました。
それでも、私は彼に恋をしていました。私の彼への探求心は今でも残っているように思えます。
私はある日、前の彼を取り戻したいという気持ちが強まってしまったのです。
彼とは元々仲が良かった訳ですからもちろん彼の住所も知っていましたし、彼の家の構図などもはっきりと覚えていました。
私は彼にバレない程度で家に張り込みをすることにしました。 すると、私は見てはいけない光景を見てしまったのです。
彼は彼女と同棲をしていました。彼たちは一見夫婦のように見えるほど、仲睦まじいようにも思えました。
そんな彼を傍から、しかもコソコソとみることでしかできない自分に失望しました。
そしてある日、私はあることを決行することにしたのです。 その日は私は授業が休講でした。
彼といっても大学生ですから授業に出ていかなければなりません。
しかし彼女は彼の話によると休校届をだしているようなので、一日中彼の家にいました。
彼女はとても低身長で丸眼鏡をかけていたかわいらしい女の子でしたので私は少し気が引けました。
私はロープとハンカチを手に持ち、彼のいない家へと乗り込みました。
彼女は陽気に鼻歌を歌っていたのでしょう。フンフンと音を鳴らしながら洗い物をしていました。
そんな彼女を後ろから抱きついて倒し、すぐさまに首を絞めました。
そして濡れたハンカチを彼女の顔にやり、20分ほど経ちましたでしょうか。
必死に抵抗する彼女の姿はいまでも脳裏に浮かんできます。今でもかわいそうだと感じるほどでした。
彼女は徐々に生きる気力もなくなり、そのまま死に至りました。
私はそんな彼女を彼が家に帰るまでボーっと見ていました。 彼が家に帰りましたら、異様な光景にすぐさま気付いたのでしょう。
私のところへすぐさま駆けつけました。もっと正しくいうと私の手によって殺された彼女でしょう。
彼は彼女を姿を見てすぐさま落胆しました。
「なんで君はそんなことをしたんだ」
涙声とかすれた声が混ざった声で、聴いたこともない彼の声でした。
そして、私は彼に問いました。
「なぜ、わたしを愛してくれなかったの?」 彼は私の言葉を理解するために数分間を要しましたが、私はすぐのように感じました。
「それは君が男性だからだよ。僕は決して同性愛者ではない。ただ君を仲の良い友達だとおもってただけだ」
そこで私は彼女が全くの無実であること。私が同性愛者であること。そして彼は私を愛することができないことを理解しました。
そして、最後に私が犯してしまった罪は二度と取り返しのつかないものであることを理解しました。
しかし、それでも私は一縷の望みをかけて彼に聞きました。
「彼女が死んでしまったとしても、私を愛することができないの?」
彼は無気力でした。血も涙もない私の言動にもはや呆れていたのでしょう。
彼は私の質問に答える代わりに、こんなことを言いました。
「すこし、彼女と二人きりにさせてくれないか」
わたしは「わかった」と言って、その場を去りました。 それから軽く1時間は超えたでしょうか。
しびれを切らした私は彼たちのところへ向かいました。
すると、そこには彼が倒れていました。彼一言も発さずに彼女のところへと向かったのです。
彼の手元には錠剤の劇薬がありました。彼はおそらく致死量の数倍は飲んでいました。
そしてもう一つ、彼の手元には手紙がありました。
その手紙を読み上げると、
「拝啓、この手紙を読んでいるということは私はすでに彼女と天国へ行っていることでしょう。
私は親へ何一つ恩返しをすることができませんでした。そして、彼女の親へ彼女を幸せにさせることができませんでした。
もしかしたら、親不孝の私は地獄へ行くのかもしれませんが、その代わりに彼女を天国へ連れていくことを約束いたします。
私の愛すべき両親と幸せをくださった彼女の両親へ、ありがとう。そして、ごめんなさい。さようなら」
私への言葉などその手紙には何一つ書かれていませんでした。 私は神様へ恨んでもいいのでしょうか。
私がなぜこんな仕打ちを受けなければならないのか、わかりませんでした。
私はただ彼を愛し、愛されたかった。ただそれだけなのに。
私はその手紙を破り捨てました。こんなふざけたものを残してたまるかと。
そして、私は彼の手元にあった劇薬を口へ運びました。
いっその事私も死ねば彼の元へいけるだろうと。そして天国でも彼女から彼を奪ってやろうと。
そんな一心でその劇薬を飲みました。 しかし、少しすれば警察が私を起こしました。
彼が致死量の数倍を飲んだあまり、私には致死量を満たす量を飲むことができなかったのです。
そして、泣きわめきました。なぜこんなにも私は思い通りにならないのかと。
私は警察に連れていかれるがままにされました。
私は警察への事情聴取で今回のことは一切口に出しませんでした。
最近の警察はよく出来ていますね。
私の証言もなしに、私が彼女を殺したことがわかっていたようです。
私は絞首による殺人犯であるレッテルを張られたと同時に、死刑を言い渡されました。 先ほど読み上げましたのは息子が私に届けてくださった最後の手紙です。
こんな不甲斐ない息子を私はどう説明すればいいのでしょうか。
死刑を言い渡された息子、彼女と彼の両親からの多額な損害賠償。
父親は他界し、私はシングルマザーとして息子を健気に育てたつもりです。
おそらく、事件の真相は私しか知らないことでしょう。このことは誰にも言うつもりはございません。
なぜ、こんなにも苦労して育てた努力の結晶が水の泡になるのでしょうか。
私に残されたものは何一つありませんでした。
そして私に課せられたのは多額の借金地獄です。こんな私を神様は救ってくださるのでしょうか。
結局最後に泣くのは、息子でも彼女でも友人Aでもなく、取り残された私でした。 レッテルでわろた
すごいね、おそらく初犯でやったのは一人、残虐性も高くないのにいきなり死刑かい
もうちょっと練れよ 完
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。 >>23
ちなみにこれは明治〜大正時代の日本をイメージして作りました。
が、死刑への基準が少し甘すぎましたね。 >>27
それで現代ではいわゆるドタキャンって表現なわけね >>29
そうです。この分だけは息子の母親が言い換えたものだと思ってください。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています