文化シヤッターが、20年以上前から使用していた販売管理システムを刷新するプロジェクトを本格的に始動させたのは2015年1月のことだ。日本IBMを開発委託先として選定した。
システム稼働は2016年7月、総開発費用は約12億3400万円を見込んでいた。

 ところが開発は見通しを大きく外れ頓挫する。
2016年3月に始めたシステム結合テスト(SIT)では進捗率50%の段階で770件の欠陥が見つかった。
これは開発規模から予想される標準的な欠陥発生数である467件を大きく上回る。

 日本IBMは2017年5月29日、画面などのカスタム開発を全廃するとともに、
2年4カ月と21億5000万円の追加費用を要する開発を提案した。

しかし販売管理システムで目指す業務革新ポイント18項目のうち15項目を部分的にまたは全く実施できない内容だった。
しかも既存システムとのデータ連携も技術的な実現可能性を欠いていただけでなく、既存システムで使用していたホストコンピューターを継続利用する必要があるなど、
文化シヤッターとして受け入れがたい提案だった。

 日本IBM役員から開発状況の説明を受けた文化シヤッター役員からは「ほとんどの今までの作業はムダだった?」
「ここまで作って動作しないから、チャラにしたいはあり得ない」といった悲痛な訴えがあったという。