敵「熱くなるなよ…現代文芸なんてパターン選択だろ?」主人公「なんだって?」
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敵「このビッグデータは商業・非商業問わず、一定評価を得た現代文芸十万冊分のデータをAI解析したものだ」
敵「俺がゼミの教授が作った、商業作家の誰もが欲しがる宝の山さ」
敵「読者の心を効率的に動かす題材選択、プロット、構成、言葉選びができる優れものってわけさ」
主人公「そんなものを作家が欲しがるだって?」
敵「欲しがるさ。小説の内容なんて出尽くしてる」
敵「おまけに大衆に目新しさや芸術の価値なんてわからねえ」
敵「大味な設定とわかりやすい展開、そしていつもの結末を求めてる」
敵「大事なのは小説論と効果的なオマージュ・リスペクト、後はそれがオリジナルだって言い張れるだけの言い訳を一枚被せてやればいい」 主人公「お前のやり方は間違ってる。小説を…創作を馬鹿にしてる」
敵「夢見る処女だな。理想見て沈むのは勝手だが、現実見てる俺に唾を吐くなよ」ハァ
敵「いいぜ…作家塾の今度の評論会で勝負してやる」
敵「負けた方は作家塾を去るってどうだ」
主人公「なっ…!」
敵「評論会にはお前の憧れてる先生や、商業最前線で戦ってる作家、一流出版社の編集も顔を出す」
敵「俺の創作を舐め腐った小説が選ばれるわけないよなぁ?」
主人公「い、いいぜ!相手してやる!」 表現と主題は分けて話をせんとやな
「小説」とだけ書くと紛らわしいやね 師匠「そんな勝負を引き受けたのかい?」
主人公「はい、贔屓はしてもらわなくていいですよ」
主人公「小説には作者の主張…テーマ性っていうものがある」
主人公「ただのデータ群の平均値では、どうしたってそれが薄くなる」
主人公「あいつの創作はオリジナリティや道徳性以前のところで躓いてるんだ」
師匠(…敵君のやり方の可否はさておき、彼は実力自体も一流作家のそれに匹敵している) 師匠(確かに敵君の創作論では一見、テーマ性が介在しなくなるが…)
師匠(彼はそんな子供でも分かる見落としはしないよ、主人公君)
師匠(敵君の創作論でカバーしきれる分野ではないため、確かに隙ではあるのだろうが…)
師匠(主人公君は間違いなく、将来の文芸界を率いる天才だ。だが…)
師匠(だが、敵君は既に完成した化け物だ)
師匠(ここでぶつかったら、潰されるよ) 師匠「それでは小説塾第56回評論会を始める…」
師匠「今日の評論会には著名な一流作家先生や、大手出版社の副編集長も招いている」
師匠「当然僕も審査に入るよ」
主人公(ついにこの日が来た…!)グッ
主人公「俺のできること全部詰め込んできた!」
敵「テメェと顔合わせるのも今日が最後だなぁ」ニヤニヤ
主人公(こんな奴には負けない…!)ギロッ
師匠「……」 師匠(主人公君が書いた小説は『悔恨』…)
師匠(交通事故で寝たきりになった妹の人生の後悔を、兄が一つ一つ解決していく物語)
師匠(だが、お願いは進むにつれて過激なものになっていき、その過程で兄の過去の事件と、妹の交通事故の真相と二人の歪な関係が明かされていく…という、サスペンス色の強いドラマが展開されていく)
師匠(いい小説だが、暗い…今日集まった面子は、はっきりいって商業主義の派閥だ)
師匠(美しい…嫌な言い方をすれば小奇麗な悲劇や、明るい爽快な小説…多少陳腐でも大衆受けの方に傾く)
師匠(そして敵君は、そうした小説が得意だ) 師匠(敵君が書いた小説は『奇跡の神子』…)
師匠(社内虐めで心を病んで退職した、家族のいない孤独な青年が十数年振りに故郷の地を訪れる)
師匠(そこの神社で思わぬ出会いが待ち受けていた)
師匠(幼い頃に縁日で出会った少女…それも、当時と変わらぬ姿のままで)
師匠(読者に媚びたライト文芸寄りの軽妙な始まりや展開だが、格式を保つことも忘れない計算高さ…)
師匠(謎が謎を呼ぶ果てに、点と点が繋がる終盤、緊張感を生む事件、そして爽やかな読了感のある結末)
師匠(やはり彼もまた怪物だ。やや陳腐さは拭えないものの、読者の思考や感情の誘導、構成力が桁外れだ) お前がやりたいのは知識のひけらかしであって読んでる人を楽しませようって気がないからやで エンタテイメントとしての小説が題材なのにエンタテイメント性が欠如しとる文章てのは意図的なんやろね >>13
これが知識のひけらかしに見えるの人生辛そう >>15
普通にゴリゴリエンタメ展開だし誰でもわかるようにしか書いてないよね >>17
いや関係ないよね
話逸らして勝った気になるのやめてもらえるか? >>14
わかった次は主人公と敵が泣きながら乳首つねり合うSS書くわ 読んでたのにいきなり作者の愚痴が入って現実に戻された
ふざけんな >>20
関係あるよ
なんで伸びないんだとかキモい愚痴してる癖に図星突かれて即レスバしようとしたやろ
マウント取りたいのバレバレだからそれ
パターンだなんだって言ってる癖に大衆文学のなんたるかがまるで分かってないやん >>18
まあ主人公君の小説暗くてキャッチーな要素薄いからね >>23
いや関係ないよ
勝手に君が被害妄想爆発させてるだけだよ >>22
ワイが愚痴を書かなくてもいいようにちやほやしろ 最後まで書かないとかどういうこと?
だからお前は上達しないんだよ 師匠(主人公君か敵君が一位に立つのは間違いないだろう…)
師匠(だが、順当にいけば主人公君が敗れる)
師匠(勝負の決め手は、やはりストーリーのテーマ性か)
師匠(実は一人の作家の書けるテーマはそう多くない…)
師匠(テーマとは言い換えれば、作者の見ている・重きを置いている世界の在り方)
師匠(同じ構成の小説を二人が書いても、個々のパーツの解釈や意味は、作家が人生で経験してきたことに依存する…)
師匠(いわば、テーマ性とは作家の人生そのもの…安易に歪めれば、必ず陳腐化する)
師匠(別の小説でもほぼ同一のテーマを口にしているか、地続きの別の価値観を提唱していることが多い) 師匠(だがな、主人公君…)
師匠(敵君は、あらゆる作家の持つテーマ性をほぼ完璧にコピーして自身の作品に落とし込めるんだよ)
師匠(ただのデータ解析ならテーマ性が喪失するという君の考えは、敵君に対しては当て嵌まらない…)
師匠(君が気に食わまいがどうだろうが、あらゆる創作物を解析して取り込んで昇華できる人間の地力が低いわけがないんだ)グッ
主人公(大丈夫…こんな奴に俺は負けない!)
敵(俺がこんな凡人に負けるわけがねぇ) 師匠「主人公君の『悔恨』と、敵君の『奇跡の祈り子』が同点数ですか」
師匠「一人ずつどちらがよかったかを述べていき、その多数決で決着としましょう」
師匠「僕は主人公君の『悔恨』に。兄のラストの独白の迫力がよかった。他の作品にはない味です」
敵(贔屓野郎が…)チッ
新星作家「私も『悔恨』ですね。重いストーリーでしたが、作中の仄かな前向きさに勇気づけられる」
敵(…一発屋がわかったような口を)チッ 編集者「『悔恨』がよかったね。迷ったけど、『奇跡の神子』の陳腐さと、構成の垢抜けなさがマイナスかな」
編集者「主人公とヒロインが自分達の都合に折り合いを付けられるまでの流れがご都合的に感じてしまった」
敵「あ、垢抜けなさ…!? ご都合的…?」
主人公「やった、俺が勝った…!」
敵(どいつもこいつも、ボンクラばかり…。だが、大御所先生は…)
大御所作家「『悔恨』かな、消去法でね。『奇跡の神子』は、テーマ性が話に解け切っていなくて気持ち悪さ…わざとらしさ、説教臭さが出てる」
大御所作家「こういうのは好きじゃないんだ」
敵「あっ…」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています