重い疾患のため余命わずかと診断されていたベネット氏にとって、通常の心臓移植の長い順番待ちは、とても間に合うものではなかった。八方塞がりのベネット氏は、米食品医薬品局(FDA)から特別な許可を得て、豚の心臓を移植する決断をしたとのこと。幸いにも手術は成功し、拒絶反応もほとんどなく容態が安定した。これは動物から人への異種臓器移植の成功例として、大きなマイルストーンになる出来事だった。 しかし手術から40日後、一転してベネット氏の容態は悪化。2か月が経過した3月に亡くなってしまった。メリーランド大学の広報担当者は「死亡の明らかな原因は特定されていない」と述べ、調査中としている。 そして今回、MIT Technology Reviewは、移植を担当したメリーランド大学医学部のバートリー・グリフィス氏が、米国移植学会のオンライン会議で心臓が豚サイトメガロウイルスとよばれるウイルスに感染していたと述べたと報じた。このウイルスは人の細胞には感染しないが、豚の臓器にはダメージを与える性質を持っている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/06677f787ec21c8928805d547b229140f2d58ae5