帰宅すると殺されていた妻と娘2人…今もその家に住む男性の思い、あまりにも残酷な日々

 7年前の9月16日。この日を境に、加藤裕希さん(49)の心は止まった。

 この日、仕事を終えて家に帰ろうとしたら、自宅の周囲一帯に警察の「立ち入り禁止」のテープが張られていた。
 2階の長女の部屋に明かりがついているのが、遠くから見えた。「どうしたんだろう、普段なら夕食前のこの時間は1階にいるのに」。妻に何度も電話したが、つながらない。まさか家の中で家族全員が殺されていたとは、加藤さんは「1ミリも想像していなかった」。
 だが、警察署で妻の美和子さん(41)と、長女の美咲さん(10)、次女の春花さん(7)が心肺停止と告げられ、後に亡くなったと知る。何が起きたかのみ込めないまま、ただ漠然と、「今日から一人になるのか」という思いが頭に浮かんだ。

 「死なないように、生きてきた」。加藤裕希さん(49)はそういう言葉で、この7年を表現した。

 埼玉県熊谷市で、妻と娘2人とともに家族4人で暮らしていた。2階建ての自宅を建てたのは次女が小学校に上がる頃。それから1年半後、2015年9月に事件は起きた。

 のちの裁判で認定された事実によると、ペルー国籍のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者(36)は、同年9月13日、市内の民家に立ち入っていたところを見つかり、事情聴取のために地元の警察署に連れて行かれた。しかし、喫煙のために外に出た隙に逃走。9月14日から16日にかけて民家3軒に侵入し、男女6人を殺害して現金などを奪った。その3軒目が、加藤さんの家だった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a118a48b399ccdd7a44625bd17fa6641643ce057?page=1