実は、受注直後から三菱重工とアイーダ社との歯車はかみ合っていなかったとされる。造船事業に長年のノウハウを持つ三菱重工だが、客船は得意の貨物船やLNG船と仕様が大きく異なる。いわば、船の上に巨大なホテルをつくるようなもので、貨物船などと比べてノウハウや蓄積も乏しい。ただし、スケジュールを守るなど、日本ならではのきめ細かさで対応できると踏んでいた。


 ところがフタを開けると、アイーダ社側から、内装や空調設備などの仕様に対し、細かいオーダーが続出。しかも、イメージと異なる、といった理由で設計変更に何度も応じる場面もあったという。こうした積み重ねによるスケジュールの遅れや人件費増加が響き、大規模な特損を生み出したのだ。



日本人ならではのきめ細やかさがあれば作ったことないものでもなんとかなるなる