まだ続いていた東京五輪の戦い…相手は「カキ」 東京都が億単位のカネを投じて延命する「負の遺産」

東京五輪・パラリンピックのボート、カヌー会場として、東京都が300億円をかけて東京湾に新設した「海の森水上競技場(江東区)」。
完成後、カキが大量発生し、競技に影響しかねないと都が1億円以上をかけて除去したことで話題となった。

都は、波を抑える「消波装置」をコースに設置した。表面を覆う細かな編み目によって
波の勢いを吸収する仕組みだ。直径60センチ、長さ12メートルの巨大なプラスチック製の筒、計470基が並ぶ。

カキが大量発生したのは、この波対策のために付けた消波装置だった。

「すごい、そんなにお金がかかるとは…」
カキ除去に14年間で20億円かかるとの都の試算に、埼玉県ボート協会の和田卓理事長は一瞬、言葉を詰まらせた。

和田氏は、海の森水上競技場の建設前から「風や波が強く、競技に不向きだ」と疑問を投げかけてきた。
和田氏の指摘に、「波や風の対策を講じるので問題ない」と言い張ってきたのが東京都だった。
その結果、五輪が終わっても莫大な維持コストが都民にのしかかることになった。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/318118