日本産の水産物輸入停止、中国がWTOに通知…即時撤廃に応じない構え

 東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を巡り、中国政府が、日本産水産物の輸入を全面停止した措置を8月31日付で世界貿易機関(WTO)に通知したことがわかった。外務省は9月1日、中国大使館がホームページ上に掲載している処理水放出への批判に反論する声明を公表した。

 中国はWTOへの通知で、日本政府の求める輸入停止の即時撤廃に応じる考えがないことを示したとみられる。中国は通知の中で、輸入停止について「公衆の生命と健康を効果的に守り、リスクを完全に抑える」ための「緊急措置」として、「(処理水放出は)公衆の健康と食物の安全に統制不可能なリスクを与える」と主張した。

 WTOの衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)では、他国との貿易に著しい影響を及ぼす措置をとった場合、加盟国に通知を義務づけている。日本側は今後、SPS委員会の会合などで反論していく方針だ。

 一方、中国大使館は、 呉江浩ウージャンハオ 大使が8月28日に岡野外務次官と面会した際に主張した内容として、処理水放出への批判をホームページ上に掲載し、「日本はいくつかの問題に回答すべきだ」としている。