ロシアの通貨ルーブルは14日、対米ドルで一時1年5カ月ぶりの安値を付け、欧米の制裁や輸出収入の落ち込みで経済への圧迫が強まっている状況が浮き彫りになった。
ルーブルは一時1ドル=100ルーブルを下回り、年初来で4割近く値を下げた。ウクライナでの戦争が重荷になっている。
ロシアのプーチン大統領は欧米による制裁の影響は限定的だと主張するが、ルーブル下落は数あるロシア経済の悪材料のひとつに過ぎない。
ルーブルは2022年2月のウクライナ侵攻開始直後に暴落し、翌3月には1ドル=136ルーブルまで落ち込んだ。その後は石油・天然ガス価格が高騰する中、昨年6月に1ドル=約50ルーブルまで上昇していた。
だがそれ以降、欧州経済はロシア産石油・ガスからの脱却を進め、米国やカナダ、ノルウェーからの輸入を増やしている。
これがロシアの財政を逼迫(ひっぱく)させているほか、戦費増大も財政の圧迫要因になっている。
ロイター通信が確認した政府文書によると、ロシア政府は2023年の国防予算の目標額を倍増させ、予算全体の3分の1に当たる1000億ドル超に引き上げた。
このほか欧米の制裁もロシアへの外国投資の減退や、輸出減少につながっている。
ロシア中央銀行のナビウリナ総裁によれば、輸出減に旺盛な内需による輸入増が重なり、一段とルーブル安が進行している状況だという。
ロシア中銀は14日、政府需要の高止まりなどが原因となり、全体的に経済活動が押し上げられていると指摘。これが物価上昇圧力やルーブル安につながっているとの見解を示した。
また、物価抑制のために近く利上げを行う可能性に言及し、CNNに寄せた声明で「今後の会合で主要金利を引き上げる可能性があることを認める」と述べた。
ロシア中銀は先月、インフレ高進や通貨安を理由に政策金地をここ1年あまりで初めて引き上げ、8.5%としていた。
ロシアの政策立案者は開戦直後の緊急措置で金利を2割引き上げたものの、その後は7.5%まで徐々に引き下げ、ルーブルにさらなる下押し圧力がかかっている。

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