魔王(娘)「ぐす…ぐす…ふぇええ…怖いよぉ…」 勇者一行「……ええ」
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魔王(娘)「うう…ぐす…ぐす」
僧侶「無事魔王を倒したと思ったら、まさか奥の隠し部屋に娘がいたとは…」
魔法使い「し、しかし、こんな年端もいかない小さな娘…、お、おい、どうする勇者」
女勇者「小さくても魔王の娘。決まっています。ここで始末しましょう」
魔王(娘)「ひいいっ…!」
戦士「おい、待ってくれ!勇者!
魔王の娘とはいえ、見た目は子供!こりゃお前よりずっと年下だぞっ!いくらなんでもそれは…」 女勇者「戦士、あなたの奥さんと娘さんは、魔王軍に殺されました。
目の前にいる娘は、それを指示した魔王の娘なんですよ、それなのに…」
戦士「魔王を討伐し仇はとった。この娘は、魔王の娘とはいえ、こんな狭い部屋に幽閉されてたんだ。
きっと何も事情を知らなかったんだろう、命をとるのは忍びない」
魔法使い「戦士の気持ちはわかるが…、しかし、このまま黙って見逃すというのは」
僧侶「ああ、今はまだ子供でも、いずれ大人になり、人間に害をなす可能性は高いだろう」
女勇者「僧侶のいう通りですよ戦士。始末しないというのなら、一体どうするつもりですか!」
魔王(娘)「うう…ひぐ…えぐ…」
戦士「え、いや、それは…ええと」 10年後
とある村
魔王(娘)「ただいまー」
戦士「おう、おかえり。ってあれ。お前、なんで午前中に帰ってきてんだ?学校は?」
魔王(娘)「んー?今日は、テストで午前中で学校、終わりなの…って、ちょ、ちょ!な、なにやってんの!?」
戦士「え?いや洗濯だけど」
魔王(娘)「いやいやいや!何私の服と一緒に洗ってんの!?そ、それ私の下着、はああ!?
いつも言ってるでしょ!ちゃんと分けて洗ってって!いつも言ってるよね!?」
戦士「ええ…、いやそんなめんどいし」
魔王(娘)「はあ?分けて洗ってって、言ったよね?ねえ?」
戦士「はい…」 戦士「ご飯、どうする?早く帰ってくるって知らなかったから準備してないけど」
魔王(娘)「え?あーいい。友達と食べてきたし、てか家で食べるご飯おいしくないし」
戦士「そう…。あ、って、いうか。今日がテストって知らんかったぞ、お前ちゃんと勉強してるのか!?
最近家でゴロゴロして」
魔王(娘)「ああはいはい。やってるやってる、から。てか今日テスト終わったから。あ、それと」
魔王(娘)「テスト終わって午後から友達がウチに遊び来るんだけどさあ。
友達来たら、あんまり家でうろうろしないようにしてくれる?」
戦士「え…なんで?」
魔王(娘)「なんでって…、友達に見られるの、何か恥ずかしいからに決まってるじゃん。
ほんと、頼んだからね」
戦士「」 魔王(娘)の部屋
友達A「ねえ、ねえ。まーちゃんのお父さん、勇者一行の仲間なんでしょ?すごくない?」
友達B「ねー、一回見たことあるけどかっこいいよね!?今日は家いないの?」
魔王(娘)「はあ?どこが?全然すごくないしカッコよくもないよ。ただのおっさんだよ」
魔王(娘)「それにお父さんじゃ…、……、うん…まあ…、そこはあれだけど。」
魔王(娘)「なんか今日は、自分の部屋に閉じこもってなんかしてるみたい。あ、てかさ。今日のテスト難しくなかった!?」
友達C「わかるー。蘇生呪文の理論とか、この平和な世界で知らねーっ、ての!あんなん必要?」
友達B「まあ、ああいうのは、そもそも神の加護がある限られた人じゃないとできないらしいし、テスト用に理論だけ
丸暗記するだけだよねー、きゃはは」
戦士の部屋
戦士「はあ…」 酒場
戦士「小さい頃はそんなことなかったんだけどな。アイツ、すげーさみしがりやで、
家でお留守番させておくとすぐ泣いて大変だったわまじで」
戦士「学校も結構人見知りするタイプで、入学式とかも俺のそばから離れなくてさ、はは…」
部屋用意にしてあげたのに、時々さみしいからって、俺の部屋に来て一緒に寝たりさあ…はあ」
戦士「それなのにさ…、最近は、最近すげー当たりきつくなってさ。やっぱ、あれなんだよな」
戦士「恨んでるんだろうなあ…」
戦士「まあ、そりゃそうだよな。アイツの父親である魔王を倒したのは俺たちだしな」
戦士「どう思う?」
魔法使い・僧侶「ええ・・」 魔法使い「いやそれ…普通に年頃なだけじゃないか…?うちの娘も似たような歳だけどそんな感じだし…」
僧侶「ああ、お前、てかお前、すごいな。魔王(娘)。普通に学校通って友達つくって…、人間に
なじんでるんじゃん。よくそこまで育て上げたな」
魔法使い「ああ、お前が自分が面倒みるって言いだした時は何考えてるんだって思ったが…
久しぶりにこうして集まっていい話を聞けてよかったよ、なあ勇者?」
女勇者「いや全然。さすがは魔王の娘。邪悪ですね。恨んでますね、我々のことを」
魔法使い「ええ・・」 戦士「や、やっぱそうかな…」
女勇者「いやそうでしょ…。
まず、洗濯物一緒に洗っちゃいけないとかいう発想が意味が分からないですし…
戦士全然臭くないし。戦士がせっかく作ってくれた手料理を食べずに外食とか意味がわかりません」
女勇者「友達に見られるのが恥ずかしいという感性も意味不明です。
てか、戦士は普通に恰好いいというかなんというか…、久しぶりに会って、なんか…、歳を重ねてますます、
なんか…深みが増したというか、なんていうかごにょごにょ……」
女勇者「ていうかそもそも、戦士と一緒に暮らすとか、なんなんですかそれ、うらやまし…」
魔法使い「ま、まあとにかくっ!戦士。10年ぶりにお前に会って話を聞いてよくわかったよ!
魔王の娘は、我々に害をなす存在ではないってことがな」
僧侶「ああ!心配になってきてみたが、全然問題なさそうだなっ!
そこまで立派に育てた戦士には敬意を表するよ!」
女勇者「ちょっ…、待ってください!話はまだ終わってないですからっ!私は
全然、安心できてませんよっ!戦士っ!ちょっとお願いがあるんですけど!」
戦士「え…?」 翌日
戦士の家
魔王(娘)「ただいまー」
戦士「お、おお。お帰り」
魔王(娘)「ん?どうしたの、なんか様子おかしくな…、…あ」
女勇者「こんにちは」
魔王(娘)「……、ちは」
戦士「あ、あー。この子はな。俺の昔のパーティにいた子で、たまたま近くに来たから立ち寄ってくれたみたいで」
魔王(娘)「あー…、うん。覚えてるよなんとなく、勇者さんでしょ?こんにちは…、それじゃ私部屋行くから」
戦士「あ、待ちなさい。せっかくの客人だし、昼飯作ったから一緒に食べながら話でもしよう、な?」
魔王(娘)「ええ…」 昼食
女勇者「まさか戦士がこんな辺鄙な村で農作業して暮らしてるだなんて」
戦士「まあ、他にもギルドの簡単な仕事とかでなんとかやっていってるよ」
女勇者「戦士ならこんなところじゃなくて、王国で立派な暮らしができるのに」
戦士「いやあ、俺はそんなの興味ないしいいよ」
女勇者「し、しかし、あ、あのね…、戦士。わ、わたし、今、王国の騎士の指南なんかをしていて、その
人手が足りなくて…、その、よかったら」
魔王(娘)「……、あ、あーあのさあ」 魔王(娘)「そういえば、来週。授業参観があってさ。ちゃんと来てよね」
戦士「え?そうなのか、ていうかそういうの普段、俺が行くの嫌がるくせに」
魔王(娘)「何言ってんの別に全然嫌がってないし。ていうか一応保護者なんだから来てよ」
戦士「え、ああ」
女勇者「……」
魔王(娘)「あーもう、口にソースついてるよ。もう、お客さんの前でそそっかしいなあ」
戦士「え?ああ、って、おい。なんだよ」
魔王(娘)「何って、拭いてあげるから。ジッとしてなよ」
女勇者「え、ちょ…なに…、何やってんの…ちょ、ちょっと!待ちなさいっ」
戦士「え?」
女勇者「せ、戦士!あ、あのっ!この子とちょっと二人きりで話させてくださいっ!」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています