テニスで加藤失格問題の余波がまだまだ続いている。

ナショナル・バンク・オープン(モントリオール)女子シングルス2回戦(9日)、世界ランク8位のマリア・サッカリ(ギリシャ)と同48位のダニエル・コリンズ(米国)の一戦で前代未聞の公開バトルが勃発した。第2セットの途中、サッカリがサーブでフォルトし、跳ね返ってきたボールをイライラした様子でコートに打ち付けると、弾んだボールが観客席へ勢いよく飛んでいってしまった。サッカリはすぐに手を挙げ謝罪したが、コリンズは許さず。審判に対し「今、見ました? 何が起こったか見ましたか?」と、ペナルティーではないか?と問題提起した。

するとサッカリが「誰にも当たらなかった。地面に落としたのよ」と無罪を主張。これに対しコリンズが「黙れ。口を閉じなさい!」と反撃。サッカリは「何が問題? 私は誰にも当ててない」と再反論。コリンズは「あなたは観客席にボールを打ったんだよ。マリア。誰かにぶつかりそうになったんだよ」と観客の前で口論が続いた。その後、主審は2人を落ち着かせ、プレーは続行。試合はコリンズが6―4、6―2のストレートで勝利した。

この騒動はネット上でも物議。テニスジャーナリストのベン・ローゼンバーグ氏は自身の「X」(旧ツイッター)で動画を引用し「私はコリンズに同意する。オフィシャルは、選手が無謀にボールを叩いたり、ラケットをスタンドに投げ込むことをはるかに厳しくする必要がある。他の見方をしてはいけない」と投稿した。

また英メディア「デーリー・メール」は全仏オープンで加藤未唯(ザイマックス)がボールガールにボールを当て、対戦相手の執拗な抗議の末失格になった騒動に触れ今回の大げんかを報道。当時、大会関係者が「あなたが誰かにボールを当て、彼らがケガをした場合、あなたはその行動に責任がある。たとえあなたが意図していなくても、その行動に責任がある」と語った言葉を引用し「加藤がボールガールにボールを当てて失格になった2か月後、ボールを観客席に打ち込み新たな騒動」と伝えている。

ルールの徹底がなされない限り、混乱は続きそうだ。