最近の監督は、手腕ではなく、人気取りだけで選ばれているように思えてならない。特に今回の人事は、スター選手を据えれば観客も入るだろうという、安直な考えがどうしても透けて見えてくる。

だが、「名選手、必ずしも名監督にあらず」。これにもしっかりとした根拠がある。現役時代にスター選手だった監督、特にスラッガーだった監督は、攻撃野球を好む傾向が強い。ホームランが何本も飛び交うような、素人が見てもわかりやすい、派手な野球が好みだ。

言い方を換えれば、ただ打って走るだけの才能と技術に頼った粗い野球である。何かの間違いでハマれば確かに強いが、野球はそんなにうまくいくものではない。これでは到底、常勝チームなど作れない。

また、スター選手はその才能からデータを必要とせず、細かいチームプレーとも関係なくやってきた者が多いため、いざ監督になったら緻密な野球ができない。そればかりか、その必要性や重要性をまるで理解しようとしない。そのため有効な作戦が立てられないし、相手の作戦を読むこともできない。