俳優、歌手として活躍する菅田将暉さんの母菅生(すごう)好身さん(59)=大阪府=が、兵庫県淡路市浅野神田の北淡中学校で講演し、子育て経験を語った。菅田さんら息子3人と絆を深めてきた日々を数々のエピソードを交えて述懐。良い親子関係を育むためには「決して否定をせず、子どもと向き合うことが大切」と呼びかけた。(中村有沙)

同校PTAが開催。役員の一人が好身さんと親交があり、講演を依頼した。

好身さんは、兄弟3人全員を自宅で出産。長男菅田さんのへその緒は夫が、次男のときは菅田さんが、三男は兄2人がそれぞれ切ったといい「親子の絆が深まった」と振り返った。

夕食時はテレビや携帯電話を消し、家族が一人ずつその日良かったことを三つ言う習慣があったと紹介。「意識したのは、否定する聞き方や言葉の使い方はしないこと。知らない話題でも、すごいね、面白そう、大変やったねと共感する言葉で伝えた」と話した。

家族の良いところを三つ挙げる機会もつくった。「おかげで3人とも人の短所より長所に目がいく。スムーズにコミュニケーションが取れる大人になった」と目を細めた。

菅田さんが芸能界に入るきっかけとなった雑誌のオーディションにも触れた。

あるとき、知人から「子どもが家で褒められるようになると、外でも認められる」という話を聞いた。早速、菅田さんに「家で褒められるといいらしい。オーディションに合格したいなら、手伝いを頑張ってみたら」と声をかけた。

菅田さんは朝食の片付けやトイレ掃除などを積極的にするようになった。「素直に行動してくれたことがうれしかった。めっちゃ良い子、とよく褒めた」。しばらくして菅田さんはオーディションに受かった。好身さんは「家で子どもを褒める。ぜひ実践してみて」と助言した。

成功例だけでなく、失敗経験も生々しく語った。ぜんそくだった次男は外遊びより家でゲームをするのが好きだった。「そんなつもりはなかったが、ゲームばかりやってと次男を見る目が悪くなり、関係が悪化した」と打ち明けた。

解決に向け、次男がゲームをする時は一緒にする▽弁当の中に「大好き」と伝わるメッセージを入れる-という二つの関わり方を徹底。思いを伝え続けることで関係が改善したという。

「子どもに親の感情は必ず伝わる」と好身さん。「『うちの子たちはいい子』と思い続けてほしい」と力を込めた。