昔、イチロー見ながらメジャーリーガーになる事を夢だも語る子供が居たんや。
でもその子、片足なくて、もう片方も麻痺。可哀想だよな。
ワイは、その子の選手の夢に向かっての練習という名目で、車椅子に座ったままのその子のキャッチボールに付き合ってた。2年間くらい。
ボールが行き交う中、何度も「練習したらメジャーリーグ行けるよね?」も質問されるたびに「俺は野球知らないから、よく分かんないな」と答えていた。
勿論無理と分かっていたけど言葉に出来なかっただけで、その子も自覚してたからこそ現実を認めたくなくてワイなんかにでも「夢は叶うよ」と一言欲しくて何度も質問してたんだと思う。
その子の親なんかはパラリンピックみたいなハンデを持つ人向けの土俵での活躍を薦めてみたが、彼は「メジャーリーグが僕の夢だ」と諦めることはなかった。
これは15年弱前の話。彼とは疎遠になったが、夢が叶っていれば耳に挟んでいるはずだ。
もし、努力は必ず報われるだの夢は叶うなんてデマカセを吹き込まれなければ、残酷にも無為な努力に励むこともなく、他の道を見つけられていたかもしれない。
ワイは綺麗事を語る無責任な人を見るたび、あの子を思い出してワイは胸が苦しくなる。