「国際交流は、インバウンドとアウトバウンド(日本人の国外旅行)の双方あってこそのものだ。今、このバランスが崩れており、早急にアウトバウンドを回復させる必要がある」。日本旅行業協会(JATA)の高橋広行会長(JTB会長)は、観光庁との共同会見でこう訴えた。海外旅行者の回復状況は、欧米だけでなく、厳しい制限が長く続いた韓国に比べてもペースが遅いという。

 コロナ前の70%近くまで回復した訪日外客数に対し、出国日本人数はコロナ前の30%台にとどまっている。このアンバランスさが長期化すると、日本の旅行会社が海外ホテルを予約する仕入れ力が弱まるなど、「海外での日本人マーケットが縮小し、良質なサービスを提供できなくなる危機感がある」(高橋会長)という。

 台湾観光協会はいち早くJATAとの間で、訪台日本人観光客の早期回復を図るための覚書を結んだ。台湾では、グリーン観光や体験型観光などの旅行企画や訪台旅行者へのプレゼント企画などが充実。また、デジタル技術により混雑を避けて旅程を組める情報サービスを用意するなど、ポストコロナの旅行ニーズへの対応に注力している。

 台湾から日本への旅行者はすでに回復してきており、台湾観光協会の葉菊蘭会長は「(台日の旅行者数の)アンバランスは“不健康”だ。海外旅行の再開時の行き先にぜひ台湾を選んでほしい」と話す。

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