ユダヤ教超正統派は性をめぐるルールが厳しい。

まず男女の「隔離」。幼稚園から男女に分かれる。
モティによれば、青春時代には恋愛もデートもなし。
男女が一緒に歩いていたら、ほぼ既婚者だと思っていい。
祈りの場所も別々で、聖地「嘆きの壁」も左右にフェンスで仕切られている。

「そもそも、誰も恋愛結婚なんてしないのです」とモティは言う。
20歳前後になると、マッチメーカーと呼ばれる仲介人にお金を払い、家柄や宗教学校での成績などを考慮して、お見合いがセッティングされる。

特にハシディームと呼ばれる宗派は厳格だ。
男性は「女性を見てはいけない」「女性のことを考えてもいけない」と教わって育つ。
自身もハシディームの文化で生まれ育ったモティは言う。
「結婚するまで、8割の男はセックスの仕方を知らない。女性の裸がどんなものかも知らない」。
2、3度のお見合いを経て、次に会うのは結婚当日となる。

超正統派が子だくさんなのは有名な話だ。
イスラエル民主主義研究所(IDI)によると、女性1人がもうける子どもの数は平均6.6人。
10人を超えることも珍しくない。
旧約聖書の創世記にはこう書かれている。
「子孫を天の星のように、海辺の砂のように増やそう」