まず、店長を見る。
見るからに油でギットギトなのを確認し、豚骨ラーメンを注文する。もちろんすべて増し。
店長の汗がスープに入るその瞬間、俺は鼻に入る油のにおいとともに出来上がるラーメンの姿を想像する。
味覚だけじゃない嗅覚、視覚をラーメンに費やせ。
幾分立ったか、ラーメンがカウンターに出される。
店長から受け取り、おわんの中身を見る。
「なんだこれ、豚の餌じゃねぇか!」
まぁ、しかし、なんだ。やっぱり料理ってのは味だ味。
左手でレンゲを持ちでまず、スープをすする。これがうまい。
思わず、右手ですでに箸を持っていることに気づいた。感覚の趣くままに?をすする。
気づくともう、おわんには何も残っていない。スープすら飲んでしまったのだ。
「じゃお会計...1200円!!高けぇ!!二度と来ねぇぞこんな店!!」
叫んだ瞬間の店長の顔を見て、引きつらず、ただラーメンを作るのに専念していたなら。
そいつが本物のラーメン店の店長だ。