宇宙航空研究開発機構(JAXA)は18日、2022年10月に小型ロケット「イプシロン」6号機の打ち上げに失敗した問題について、詳細な原因を特定したことを明らかにした。

ロケットを打ち上げる前の製造段階で燃料タンク内の部品が損傷してしまい、機体の姿勢制御に使う燃料が流れる配管を塞いだことが原因と結論づけた

同日、文部科学省が開いたイプシロン6号機の失敗原因を調べる専門家会議で報告した。6号機で問題が見つかったのは、ロケットの2段目で燃料タンクの内部を燃料とガスの2つに分ける役割を持つ半球状のゴム製の膜だ。JAXAの調査によると、打ち上げ前にタンクを組み立てる際、タンク本体とゴムの膜を結合する部分で損傷が起きたとみられる。その結果、燃料がガス側に漏れ出てしまった。最終的に、ゴム膜が配管を塞いでしまって、打ち上げの失敗につながったと分かった。

JAXAは18日の記者会見で部品の「製造ミス」であるとの考えを否定し、事前の検査などで異常を検出できなかった点に問題があったとの見方を示した。次世代機のイプシロンSの燃料タンクでは新たに対策を取る。6号機失敗の原因究明を踏まえてタンクの設計を変更するか、実績のある大型ロケット「H2A」のものを活用するかを検討するという。

JAXAは同日、イプシロンSについて、政府の宇宙開発の工程表で「23年度か24年度」としている初号機の打ち上げ時期を24年度にする方向で調整していることも明らかにした。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC187WY0Y3A410C2000000/