北方領土は「ロシアに時間与えたら私物化する」…ゼレンスキー氏、原発の安全確保でも日本に期待
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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は23日の読売新聞の単独インタビューで、ロシア軍侵略下で操業しているウクライナ国内の原子力発電所の安全性の維持に強い危機感を示した。原発の安全確保に向け、日本の協力に期待を示した。

日本へ協力要請意向

ウクライナには、廃炉中のチョルノービリ(チェルノブイリ)原発以外に、運転中の原発が4か所ある。ゼレンスキー氏は原発の安全性について、「明日何が起きるかわからない」と述べた。

 原発周辺への露軍の砲撃で事故の懸念が高まっているだけでなく、安全運転に欠かせない外部電源の喪失が繰り返されている。露軍は南部にあるザポリージャ原発の占拠を続け、作業にあたるウクライナ人職員の健康不安もある。

 ゼレンスキー氏は「日本は経験を有している」として、原子力防護で日本の協力を求める考えを示した。2011年の東京電力福島第一原発事故後に対策を進めてきたことが念頭にあるとみられる。

 一方で、国連事務総長が提唱しているザポリージャ原発への「安全保護地帯」の設置合意は難しいとの認識を示した。砲撃などによる原子力事故を回避するため、原発一帯を非武装化するもので、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長が昨秋以降、ウクライナとロシアの仲介を続けてきたが進展はない。

 ゼレンスキー氏は、ロシア側が500人の原発残留を条件にしていると明らかにした上で、「武器を持った500人がいてどう非武装化するのか。賛成できない」と強調した。「グロッシ氏はロシアに影響を与えることはできない」とも述べ、交渉状況への不満を口にした。