振り返ると、そこには見知らぬ男が立っていた。背は低く、肥満気味で、髪はボサボサ、服もヨレヨレのTシャツにボロボロのジーパンという格好だ。年齢は40代後半ぐらいだろうか。顔はお世辞にもイケメンとは言えず、口の周りに無精髭を生やしている。一見すると浮浪者のような男だった。
「僕と遊ばない? 」
「え、えっと……」
男は馴れ馴れしく話しかけてきた。いきなりのことで、千尋は恐怖を感じ、思わず後ずさりする。
「いいでしょ? ほら、おいでよ」
「い、いや……やめてっ! 誰か助けて!」
千尋は思わず逃げ出した。しかし、すぐに男に腕を掴まれてしまう。
「おい、逃げんじゃねえよ」
「嫌ぁ……離してっ!!」
振りほどこうとしても、男の力は強く、とてもかなわない。そのまま引きずられるようにして、ハイエースに連れ込まれてしまった。