「カップラーメンを食べていた学生を注意しなかった」視覚障害のある教員に退職を迫り…岡山短大で起きた“障害者差別”
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 ところが、2016年1月になって岡山短大は、今度は「指導能力が欠如している」と言い始め、山口氏に教職を辞めるように迫った。

 山口氏によると、岡山短大が主張した理由は次の2点だった。

 1点目は、山口氏がゼミで教えていたある学生が、同じゼミの学生と仲が悪くなり、「ゼミが楽しくない」と他の教員に伝えたことを、山口氏へのクレームとして扱ったことだ。

 2点目は、山口氏の授業中に抜け出している学生がいるが、視覚障害があるために注意できないというものだった。

 いずれも学生の問題であり、納得できなかった山口氏は、代理人弁護士を通じて話し合いで解決するように求めた。

 しかし、岡山短大の態度は頑なだった。視覚障害のために授業中にスマートフォンをいじっている学生を注意できないなど、さらに理由を加えてきた。

 岡山短大が特に大きな問題にしたのは、授業中に教室でカップラーメンを食べていた学生がいたにもかかわらず、山口氏が気づかずに注意できなかった、という点だった。

 ただ、これらの事案は学生の行動自体に問題があると言える。それなりの分別があってしかるべき学生の問題行動を、目が見えなくて気づかずに注意できないのが悪いと、すべて山口氏に責任を押しつけるのはいかがなものだろうか。

 それでも岡山短大は、2016年1月、教職から事務職への職務変更と、研究室からの退室を一方的に通告し、3月以降、山口氏を授業から外した。17年にわたって授業を担当してきた准教授から、「指導能力がない」と言って仕事を奪ったのだ。

 視覚障害がある大学教員は、山口氏が教員を外された2016年の時点では全国で25人いた。山口氏の問題を受けて教員らは文科省で記者会見し、「視覚障害がある大学教員は不適格などと、私たちは言われたことがない。ナンセンスだ」と岡山短大の態度を批判した。