その旅館には和の気配が漂っていた。畳の香りに軋む板目、正に高校生の修学旅行にぴったりだ。
 ちょうど今は入浴が終わり、大浴場から生徒たちが出てくるところだった。
 男子と女子がそれぞれ別の浴場から出てきて、火照った顔で浴衣を着こなしている。

「うわ、女子の浴衣すげえな……」
「ほんとだよ。今日は寝れねえ」
「ちょっと男子、いやらしい目で見ないで!」

 俺はそんな男子の一人だった。入浴を終えた爽やかな気分で、自販機にでも行こうかと悩んでいたところ。
 そこに、一人の女子高生が現れる。