活躍の場はグラウンドだけにとどまらない。今季が移籍3年目となる巨人・中田翔内野手(33)のことだ。今年初のオープン戦となった23日のヤクルト戦(浦添)に「3番・一塁」でスタメン出場し、フェンス直撃の二塁打をマーク。ここまで調整は順調で、後輩の面倒見の良さでも豪快さを発揮している。

中田翔のバットから、らしい打球が飛び出したのは4―0の3回に迎えた第2打席だった。初対戦の新外国人右腕エスピナルの143キロ直球をジャストミート。中堅フェンス直撃の二塁打で幸先よく〝今季初安打〟をマークした。日本ハム時代の2021年5月1日の西武戦以来、巨人では初の3番で起用した原監督も「いろいろな並びの中でね、風景としては悪くなかったですね」と大砲の活躍に表情を緩めた。

中田翔は4番で無安打だった17日の紅白戦後に「まだまだこんなもんじゃないよ」とさらなる良化を予告していた。その言葉通り、鋭いスイングは日に日に力強さを増している。

頼もしいのはバットだけではない。後輩の面倒見でも力強さを発揮している。15日まで宮崎で行われていた1次キャンプ中の休養日には、こんなことがあった。

自主トレもともにした愛弟子・秋広を連れて向かった先は、宮崎市内にある有名餃子店。餃子をつまみに晩酌か――と思いきや、ここで中田翔は餃子を1人当たり10人前を注文する豪快ぶりを発揮したという。これは痩せやすい体質に苦しむ後輩のためのいわば「食トレ」で、理想とする体重をキープするため一人約80個の餃子を平らげた。

さぞ腹も満たされたことだろうと思いきや、中田翔は「そんなもんじゃないよ。餃子を食った後に、地鶏を出す宮崎料理のお店、最後は締めにうどんも食べに行った」と〝爆食ハシゴ飯〟だったことを告白。ご当地グルメを満喫しながらも、しっかりと食トレを敢行していたようだ。

先輩のサポートは外出先だけではない。秋広によれば「ホテルの食事会場でも、僕が座っている目の前に翔さんが来て、丼の白米がなくなるたびに新しくよそってくれるんです。時間がかかりながら毎回『もう無理…』となるまで食べ続けるんですが、翔さんは最後の最後まで付き合ってくれるんですよ」。

さながら中田翔は「寮母さん」といったところだが、秋広は「先輩がこれだけ自分のために動いてくれることに感謝しかない。なんとか結果を残して恩返しができれば」と意気に感じている。

かつての「大将」から「鬼の寮母」へ――。今年の中田翔は充実の春を過ごしている。
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