「あおぎり高校」はVチューブという形式自体を見世物にしている。いわば「自己言及」。私も映画で散々やったことですよ。

――前回からVチューバ―について語って頂いています。
数多くいるVチューバーやそのチャンネルのなかで、押井さん的にもっともがんばっているチャンネルを見つけたということなんですが。

それは「あおぎり高校」というチャンネルです。女子高生が5人くらいいる15秒くらいのショート動画。
長いバージョンもあるけど、私が見ているのは短いほう。“Vチューバーあるある”的なショート動画をやっていて、これが面白い。
そのなかでも「大代真白」という子が一番いい。

――押井さんはこのチャンネルのどこに注目したんですか?

自分自身でVチューバーのギャップを演じているところだよね。一応、表向きは17歳の女子高生という設定だけど、そんなこと誰も信じていない。
じゃあ、その中身は何なんだ、ということをネタにしちゃってる。つまり、Vチューバーの本質とは何かをネタにしているということですよ。

――ということは、メタなノリなんですね?

そうです。しかもそれをちゃんとエンタテインメントとして面白く見せている。
器用だから声も何種類も使い分けていて、かわいい声で喋っていたのが突然、ただの酔っぱらいになったりする。
そういう展開は、お酒が好きらしい大代が多いし、彼女がそのメタの表現が一番上手い。
本音と建て前、Vチューバーとその中の人のギャップをもっとも面白く見せている。
大代さんが酔っぱらって逮捕されましたという動画も作っていて「いつかやると思ってましたよ」というコメントも入っているからね。
中の人もお酒が大好きなんだよ。状況自体をメタ的に演出し、Vチューバーの存在自体をネタにしているわけ。
それに大代のネタはぶっ飛んでる。たとえば「浣腸動画」をやってみたり。確か、これで少しバズったんじゃなかったかな。

https://tvbros.jp/uncategorized/2022/10/13/55161/