ある日言われたんだ。 「パパとママどっちと暮らしたい?」
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ある日言われたんだ。
「パパとママどっちと暮らしたい?」
僕は泣きながら答えた。
「みんなで暮らしたらいいじゃん」
僕の耳元でママが囁いた。
「さっきママと話した通りにパパに言って」
パパが困った顔をしたのをよく覚えてる。
「まーくんはママでなっちゃんはパパでどう?」 新しい街に新しい学校。
それから新しい生活と新しいお父さん。
ママ聞いてないよ? それでも、なんだかんだ楽しい毎日。
なっちゃんも一緒になれたし、新しいお父さんのドラはいつも遊んでくれるし、ママは昼も夜も働いてて大変そうだけど新しいお父さんのドラがいつもお世話してくれる。かわいい子を演じていれば甘やかしてくれる。 新しい街は自然が一杯だった。
前の街はマンションだらけだったし前のお父さんはあまり自然の中で遊んでくれなくて、くもんの宿題で遊んでくれてたから何か新鮮で楽しかった。
カブトムシもクワガタもザリガニも一杯採れた。
ただ泳げないから川は行っちゃだめって怒られてたから行けなかった。せっかく大きくて綺麗な川が近くにあるのにもったいない。 学校はやっぱり馴染めない。
運動とかは苦手でコミュニケーションも上手く取れない。
みんなは一体なんの話をしてるの?
ユウギオウ?デュエマ?ポケモン?
わからないよ。
算数の授業が一番活躍できたんだ。
誰よりも早く先生のとこまでドリルを持って行って誰よりも早く中休み。その時だけ堂々と胸張って背筋伸ばして教室の真ん中を歩いたよ。 一番楽しい時間は学校から帰ってドラと話す時間。
毎月買ってくれるテレビジョンっていう雑誌を二人で読んで見たい番組に丸を付ける。野球とサッカーは絶対。
なっちゃんが嫌がってもこれだけは譲れない。そんな時なっちゃんは決まってこう言う。
「もう明日の朝パン焼いてあげないから」
なんだかんだ朝パンは焼けてる。 夕ご飯はドラが作ってくれるご飯がいつも美味しかった。
だけど好き嫌いが多すぎて怒られた。
「なんでポテチは好きなのにジャガイモは食べれないんだ?」
「ポテチは野菜じゃないけどジャガイモは野菜じゃん」
初めて大人の人に叩かれた。
痛かった。
怖かった。
沢山泣いたけど優しく抱きしめてくれて大人の優しさも知った。 ドラの料理で一番のおすすめは豚肉のマヨネーズ和え。それから焼き肉のたれとマヨネーズで焼いた目玉焼き。
味噌汁はいつもマルコメ。お湯は少なめにした方が美味しいね。
冷凍コロッケなんて一日5個は食べれた。
知ってる?99円ショップのコロッケってもちもちでジュワッてしてて美味しいんだ。
もちろんマヨネーズ付けてね。 たまには外にご飯を食べに連れてってくれた。
決まって、くら。
食べるのも楽しいけどやっぱりビッくらポン。これのおかげでお家のおもちゃが増えたんだ。 かまちょはtwitterに投稿しろよここよりもいっぱい構ってくれるで >>12
少しね
誰かが読んでくれたらと期待してる ナヨナヨしてんなぁ
同じ事言われたけど速攻選んだわ
ネトゲ出来りゃどうでにええわって感じだったな俺は 高学年になったし何か習い事をしたくなった。
同じ登校半のお兄ちゃんに聞いたら野球やってるって。お兄ちゃんは生き生きしてたし僕もやりたくなった。
久々にお休みで会えたママに相談。
「野球やってみたい」
ママは笑ってた。
「まーくんがやりたい事やりなさい」 楽しそうな野球生活にウキウキしながらお布団に入る。
隣ではもうなっちゃんが寝てる。
部屋が狭いからなっちゃんの布団と僕の布団が1/3も重なってる。おまけになっちゃんの寝相は最悪なんだ。
低くて所々木がささくれてる天井を見つめながらふと考えた。
「野球ってどれくらいお金かかるかな?」 >>17
ワイはなんj民や
お前らがいつも笑わしてくれるんや >>19
メンタルの弱さが人生をダメにしてる自覚はある
他者からの刺激なんて自分でコントロールできるものでもないのにね 今日も朝起きてなっちゃんの焼いてくれたパンを食べた。
チョコチップのパン。これオーブンで焼いたらすごいサクってなって美味しい。
自分で焼くのは面倒だから、なっちゃんには感謝してる。
なっちゃんは洗濯も洗い物もトイレ掃除もしてくれる。
僕だってなっちゃんと使ってる部屋とお風呂は掃除したよ。
なぜかなっちゃんは部屋だけは荒らすんだ。
なんでだろう? その日は学校がお休みだったから野球の見学に行こうかなって思った。
ドラの携帯を借りて登校班のお兄ちゃんに電話してみようと思ったんだけど、
「まだ朝早いしな」
とりあえずなっちゃんのピアノを弾くことにした。なっちゃんに教えてもらって最近やっと音符が読めるようになった。
かっこうだって弾けちゃうんだ。 暇だから読むけどいちいち「読んでるか」とか「面白いか」にこだわってる所が気に食わんわ
結局ワイらが気を遣って「面白いよ!早く続き読ませて!」って言うのを待ってる恩着せがましい奴なんやなって ピアノを弾いてたらふと思った。
「野球習うのやめよう」
ママの笑顔が頭の中に浮かんだ ある日なっちゃんと人生でこれっきしの殴り合いの喧嘩をした。
学校から先に帰ってたなっちゃんが急に僕に聞いてきた。 「お兄ちゃんってロボットでしょ?」
僕は呆然とした。
だって僕もなっちゃんに同じ気持ちを持ってたから。
「いや。僕も同じこと考えてた。なっちゃんがロボットでしょ?」
なっちゃんが冷たくて鋭い痛い眼つきをした。
「そうやって言い返して誤魔化してる。自分がロボットだってバレたから隠そうとしてる」
僕の中で何か熱いものがこみ上げた。
「それはなっちゃんだろ!? なっちゃんが嘘を吐いてる」
なっちゃんが急に泣き出した。
「なら、お兄ちゃんが血を流して証明しろ! 腹を切れ!」
僕も必死になって言い返した。
「お前がやれ!」
ふと肩に痛みを感じて地面を見るとテレビジョンが転がっていた。
なっちゃんは次に机の上にあったリモコンを投げてきた。
気が付くと二人で殴り合いの喧嘩をしていた。
次の朝は流石にパンは焼けてなかった。 ある日従妹のお父さんが従妹のかーくんとなっちゃんと僕をアウトレットパークに連れて行ってくれた。
こんなに大きくて色々なお店がある場所に来たのは初めてだから本当に興奮した。
一人ずつ洋服を買ってくれたし、透明の箱がたくさん並んだワゴンの駄菓子屋さんでカラフルなお菓子をたくさん袋に詰めた。見た目は良いんだけどまずい。
大きな広場みたいなとこで綺麗な女の人が歌を歌ってた。寒い寒い夜の空できらきらする星みたいな歌だった。テレビの中で歌ってる人よりも綺麗でかっこよくてかわいくて感動した。
カラフルなお菓子を三人で渡しに行った。 共同親権にしろってTwitterとかで言ってる奴大概ヤバい匂いするんだよな
だいぶ壺の信者も混じっていそう 何日もあの人の歌が頭の中で流れた。とてもキラキラした音。歌うの苦手だったからピアノで少しずつ同じ音を出してみた。全部音を出すのに3日ぐらい掛かった。それもうる覚えで完成したメロディはなんか聴いたのと違ったけど満足した。
だってすごい発見をしたんだよ。
白い鍵盤しか僕押してない!
野球をやりたいって思ったことも忘れて学校の宿題もそっちのけでピアノで白い鍵盤だけ押し続けた。沢山の歌ができた。
なっちゃんが隣で笑ってた。きっと僕の音楽が楽しいんだ。
少し物足りない気がしてかっこうを弾く時みたいに左手でドとソを押したり白い鍵盤を右手と同じタイミングで押してみた。
またすごい発見をした!
ドとミは気持ちいい。だけどドとシは少し嫌だ。ドとソはなんだかかしこまってるみたい。
色々な組み合わせを試そうと思った。少しずつ僕の歌がアウトレットパークで買ってもらったお菓子みたいにカラフルになった。 ―僕らは夢見てるか? 未来を信じてるか? (引用元:BIgginer/AKB48 作詞:秋元康)
テレビから流れてきた音に僕の左手を重ねた。もちろん白い鍵盤をなぞった。
あれ? 途中まで上手く聴こえたのにズレちゃった… 学校は相変わらず馴染めない。
みんなはスポーツをしたり音楽を習ったり、絵を描いたり、塾に行ったり、ゲームやカードで遊んだり。どうしても話題に入れなかった。
算数の時間だけはやっぱり活躍できた。ちょっと心の中でみんなのことを馬鹿にしちゃった。だってみんな遅いんだもん。
国語も社会も好きだけど、物語を読む以外嫌だな。歴史も物語みたいで好き。偉い人がどういう人生を送ったのか、どんな失敗をしてどんな成功をしたのか。偉い人の人生ってめちゃくちゃなんだね。笑っちゃった。
理科はリトマス紙に上手く液体を垂らせないし、アルコールランプの匂いが臭くて嫌。失敗ばっかするし。生き物の中身とか遺伝子の図は楽しいんだけど。
図工に美術は本当に苦手。あの奥行きっていうのが全然分からないし、同じ色を塗りましょうってできない。少し暗い色になっちゃうなってわかるけどどうしたら同じになるのか想像もできないよ。
でももっと苦手なのは体育。逆上がりもできないし二重飛びもできない。50m走だって10秒は切れない。体育ができる子は女の子からモテモテでずるいと思った。
音楽はとても楽しい。でも鑑賞の時間は嫌だ。あと、歌うのも嫌だ。リコーダーとオルガンの練習は楽しい。
本当はピアノを弾いてみんなに作った歌を聴かせてあげたいんだけど、みんなは大山くんの演奏に慣れてるから僕のピアノなんか聴いても感動しないだろうな。なんか寂しい。 って放課後の教室で音楽の先生と弾いてたら、明日美ちゃんっていうクラスメイトが音楽室に入ってきた。
僕は恥ずかしくなってピアノを弾くのをやめた。明日美ちゃんがニコニコしながら僕と先生の方に近づいてきた。
「それ、怖いロボットのアニメの曲でしょ?」(引用曲:残酷な天使のテーゼ/高橋洋子 作曲:佐藤英敏)
僕はなんて答えたら良いかわからなくて先生の方に顔を向けた。先生が代わりに明日美ちゃんと会話してくれると思ったから。 先生は僕の気持にいつも気付いてくれるんだ。
「明日美さんも見たことあるの?」
明日美ちゃんがよくわからない笑顔で答えた。
「お父さんが夜中に見てた。私は見ない方がいいって。だけど曲はテレビで色々な人がたまに歌ってるよね」
なんだか僕はいけない所を見られてしまった気持ちで凄く恥ずかしくなった。とりあえず覚えたてのAmっていうコードを訳の分からないリズムで連打した。
そしたら明日美ちゃんが笑いながら、
「暗いよ」
しゅんっていう気持ちが押し寄せてきて逃げ出そうかと二の腕を擦った。そんな僕に明日美ちゃんが続けた。
「嵐の果てない空って曲弾けない?」
なっちゃんが嵐好きだったから僕もその曲は知ってた。だけど頭の中にある音を直ぐに音符にできないから今は弾けないんだ。悔しくてまたAmを連打した。
「練習してきて」
明日美ちゃんが少し厳しい表情で僕にそう言った。
怖かった。
なんで僕は命令されたんだろ? 家に帰ったら、珍しくママが居た。ドラも。
二重扉の一つ目の玄関扉を開けた瞬間、二つ目の扉のガラス越しに二人の姿が見えた。
僕は慌てて帰路へ逆戻りした。
自分の心臓がバクバクなって息が上がってるのがわかった。
運動は苦手だ。 夜は特にやることもないのが日常だったから、宿題を済ませてピアノを弾いた。
いつまでも同じ様な歌しか作れないから飽きてきてたし、嵐の果てない空をなっちゃんのiPodシャッフルで聴いてみた。 ラティドティソラードレミーファミレー♪ (引用曲:果てない空/嵐 作曲:QQ)
別に明日美ちゃんの為とかではないけど暇だし、練習してみようかな。
もう一回言うけど女の子の為なんかじゃない。決してそうじゃない。暇だし。
なかなか同じ音は出せなかった。夜は9時には布団に入らないといけないし、10時までしか本を読めないし、とても一日じゃ音を理解できなかった。
少しだけズルをした。11時までイヤフォンで果てない空を聴いた。なっちゃんの冷ややかな視線が痛かった。 結局満足いく演奏まで辿り着けないまま夏休みになってしまった。
とりあえず明日美ちゃんに襟首を掴まれないようにコソコソ隠れて終業式の学校を後にした。 この街に引っ越してきてから長いお休みの時はママが働いてるお店で9時までお客さんと喋るのが普通だったから、この夏休みもそうすることになった。
多分いつもと変わらない日には違いなかったんだけど何かモヤモヤした気持ちと不快感みたいなのがずっとあった。気付いてるけど言葉にしてはいけない感覚。
怖かった。
嫌だった。 >>49
事実は違うあだ名なんだけどあだ名があった
ここではドラ 9時を過ぎたからお店の更衣室のソファで本を読んで寝ることにした。最近のお気に入りはちびっこ吸血鬼。少し子供っぽい趣味ってわかってたけど面白かった。僕にもリュディガーみたいな友達ができたらといつも思うんだ。
いつの間にか眠りに落ちた。夢の中ではアントンとリュディガーが果てない空に合わせてダンスを踊ってる。中世の孤城に似合わない壮大さで笑っちゃう。
うとうと…
すーすー…
「ドロテーおばさん、だめ! なっちゃんを殺さないで!」 夏休みが始まって直ぐにママが提案した。
「みんなで宮城に行こう!」
旅行なんてほとんどしたことなかったし、いつも忙しいママが急にそんな提案をしてくれたことに驚いたけど素直に嬉しかった。みんなでお出掛けできることもそうだけど何よりママと何日間も一緒に居れる事が嬉しい。
「やった。なっちゃんとドラにも伝えてくる」
ママが細い人差し指を僕の口に当てた。
「ドラには内緒。なっちゃんとまーくんとママ、それからね…」
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