【袴田事件】再審請求の審理終了、西嶋弁護団長が心境を語る「裁判官は腹を括ってくれるかもしれませんが…」

「話しませんから」
 1月8日の午前、静岡県掛川市のとある一軒家を訪ねた時のことだ。

「ああ、袴田のことか。駄目だ、駄目だ。あんたのような非常識な人間には話しません。あんな暑い日に食べ物なんか置いていって、なんなんだ。話しませんから」

 インターフォンのボタンを押すと、元気そうな老人が出てきた。彼は渡した名刺にちらりと目を落としてからこちらを見上げるや、それだけを畳みかけて戸を閉めてしまい、取りつく島もなかった。

 実は昨年の夏にも、掛川駅から歩いて20分ほどのこの家を訪ねたことがある。その時は残念ながら留守だった。

 電話番号もわからず、近くで帰宅を待てるような喫茶店もなかったため、そのうち暑さにへばってしまった。会うことを断念し、名刺に書き置きをして手土産のシュウマイを玄関口にぶら下げることにした。確かに猛暑だったが、シュウマイは真空パックだったので大丈夫だと思っていた。その老人の剣幕に「腐っていたんですか?」と問い返す暇すらなかった。

 申し訳なく思い、将棋の藤井聡太五冠が昨年の王将戦の対局中に食べたことで人気になったケーキ「CHABATAKE」をJR掛川駅近くのホテルで買い、再びこの家に戻った。しかし、今度は車で出かけたようで不在だった。

 名刺と共にケーキをポストに入れ、その場を去った。
続く
https://news.yahoo.co.jp/articles/9201b374e7af5b2e0bf9e124e5bbd56696d55b1a