テケテケと競争した男の話
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先に言っておくがこれは親から聞いた話だし、親の友達の彼氏の身に起きた話なので俺自身は何も怖い思いをしていない。
それでも良いなら聞いて欲しい。
怖く無かったらごめんなさい。 親の友達の彼氏は俗に言う暴走族というやつで、毎晩仲間と一緒に辺りをバイクで走り回っていたらしい。時代が時代だったからやっぱそういうのが多かったんだろうな
あ、一応言っとくと親はその頃高知に住んでました。
この事件が起きたのはとある山道でなんだが、親と同年代で高知県民とかなら知ってるかもしれないな。
その道には変な奴が出ると噂があった。
上半身だけの女の姿で、腕だけ使ってめちゃくちゃ早く走るやつ。
まあ完全にテケテケだよね。親はテケテケを知らなかったけど。 で、その彼氏さんは何を思ったのか定期的にその道を走っては後ろから迫るテケテケから逃げるという遊びをしていたんだとさ。
もちろん仲間数人も一緒に。
親が仲間の1人から聞いた話だとまあめちゃくちゃ早いらしい。だいたい4、5人で逃げてたみたいなんだけど最後尾のやつとかは顔まで見えてたらしい。
街灯もない夜道なのに、そいつだけははっきり見えるんだと。長い黒髪で白い服、肌も病的に白くて目は真っ黒。皮膚はなぜかシワシワだったとか 彼氏さんは毎回先頭を走っていたそうだが「追いついてみろや!」的なこといつも叫んでたんだってさ。
その道は真っ直ぐなんだけど、その道に入ってすぐにそいつが現れる訳ではない。
しばらく走ってると何かをボソボソ呟く声が聞こえて、振り返るといたらしい。
そしてしばらく走ってると今度は声がスッと止み、振り返るとやつは消えている。 追いつかれたらどうなるか分からない。
そのスリルがたまらなくて彼氏さんたちは頻繁に深夜にその道を走っていた。
その日も同じように彼氏さんが先頭になり走り始める。
最初はそこまでスピードは出さない。
しかしすぐにやつの声が聞こえてくる。
最後尾の人がミラーを見るとそこにはしっかりやつがいたという。
最後尾の合図を皮切りに全員がスピードを上げる。
今夜もまた、男たちと怪異による熱いレースが開幕したのだ。 ひたすら直進し続ける
やつの呟き声は全員に聞こえてたらしい
けどなんて言ってるかは分からない
男たちはひたすら走る。
追いつかれまいと走る走る。
そのうち、スッと呟き声が止んだ。
この時、おそらく彼氏さんを含めた全員が思ったという
早すぎる。
いつもなら道の終わりあたりでいなくなるはずなのに、その日は道の半分ほどで消えたのだ
不気味な違和感を抱えながらもとりあえず道の終わりまで行こうと止まらずに走り続けていた時。
先頭の彼氏さんがバイクごと宙を舞ってそのままガードレールの外に転がっていってしまったのだ 仲間たちは慌ててバイクを止め彼氏さんが落ちていった場所を見る
しかし暗すぎて何も見えなかったらしい。名前を呼ぶも返事も無し。
山道は電波も届かないので一旦街まで降りようと1人が言った。
その人が街まで降りて残りのメンバーがこの場に残るという事だったらしい
しかし、どうしてもここに残りたくない。早く帰りたいと言うものが1人いた。 彼氏さんの後ろを走っていた男だ。
彼はひたすら震えていたという
嫌な予感はしつつも、何かあったのかと他の仲間が聞くと彼は小さな声で話したらしい。
彼の話ではこうだ。
テケテケみたいなやつが消えた後、しばらくすると今度は別の音が聞こえてきたらしい。
それは馬の蹄のような音でどんどん大きくなっていたという
やがて男の叫び声のようなものもしてきていよいよパニックになりかけていた時、前方から走ってきたんだとさ。
それは首の無い馬のようなものに乗った鎧を身にまとった侍のようだったらしい。
そいつは叫び声を上げながら刀のようなものを構え、真っ直ぐにこちらに向かってくる。
そして先頭を走っていた彼氏さんを、斬ったのだと彼は話した。 その話をして、彼は泣き出したという。
もちろん、目の前でそんなことが起きたのもあるがそれともう一つ、彼は侍と目があったそいそうな。
怒りや憎しみに満ちた目だったと彼は言っていたらしい。
結局、彼氏さんは事故死ってことになった。
刀で斬られたような跡とかもなく、ただの事故死。
けど彼は実際に侍を見たと言い張るしそれ以前に、テケテケみたいなのと追いかけっこしていた彼らには今更そういう類のものを否定できなかったらしい。
それから彼らはその道には一切近寄らなくなったのだと聞いている。 以上です。
短くてすみません。
個人的にはテケテケと侍の関係性が分からないので凄く興味惹かれた話でしたので書いてみました
何か情報とか持ってる方がいましたら教えていただけると嬉しいです ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています