「電車でスマホ」が許せない人たちへ 怒るヒマがあったら、まずは相手の「事情」を想像せよ それが大人の振る舞いだ


「他人の事情」は分からない


 あなたは、電車の中でスマホを手にしゃべっている人を見てどう思うだろうか。きっと、「マナーの悪い人だ」と感じるだろう。では、電車に乗っている時、あなたのスマホに大事な取引先から緊急の電話がかかってきたらどうするだろうか。筆者(島崎敢、心理学者)も含め、大部分の人が電話に出てしまうと思う。



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 大事な取引先からの電話に出る時、私たちは、自分をマナーが悪い人間だとは思わない。なぜなら、自分のスマホの着信画面には、大事な取引先からの電話であることが表示されており、急ぎの電話であろうことも知っている。つまり、「私」には「私が電話に出なければならない事情」が見えている。だから、私が電車の中で通話する理由は私にあるのではなく「私の外の事情」にあると分かる。



 一方、電車の中で通話をする他人はどうだろうか。「私」には、電話をしている「他人」の「電話をしなければならない事情」が分からない。事情が分からないので、他人が電話している理由は「その人の人格のせい」であると感じてしまう。だから「マナーの悪い人だ」となるのだ。