そいつはバレー部でワイは競泳をやっとった
水泳部の連中はワイ以外あんまり真面目に練習してなくていつもワイだけ居残って練習してたんやけど
プールの出口の正面にバレー部の部室があって
練習終えて着替えて出てくるといつもそいつとそいつの仲間数人が着替えてるところやった
ワイは部室の周りに掘ってある側溝に腰掛けていつもそいつとくだらない話をしとった
どんな話をしてたか全く思い出せないから本当に他愛もない話だったんやろな

ある日教室の机にそいつからの手紙が入っとったんや
ラブレターやった
ワイはそいつのことが好きやったけど
あまりに突然で変に疑い深くなってしまってイタズラか何かやと思ってしまったんや
だから見なかったことにしてもうたんや
なのにそいつは今までと同じように接してくれた
今思うと本当に申し訳ないことをしたと思う
中学を卒業してお互い別々の高校に進学したんやけど
ある日偶然駅のホームで再会したんや
その時に今ハマってる趣味の話をしたら
おもしろそう、教えてよ!って言われたんや
でもどう考えたって女が興味を持つような趣味やなかったから冗談だと思って軽く受け流してそのまま別れたんや
今考えるとそいつはワイに最後のチャンスをくれてたのかもしれん
嫁には絶対に話せないワイの思い出や