「パチンコは禅」世界文化賞ヴェンダース監督の日本人論「だから私は日本に帰る」

・アメリカに憧れたヴィム・ヴェンダース監督。しかし、ハリウッドのシステムに馴染めずアメリカに別れを告げ、恋した場所は日本。東京で一番好きな場所はパチンコ店だと言う。

ヴィム・ヴェンダース「パチンコには中毒的に、はまっていました。実は、結構勝っていたんですよ。左右に座っているお客さんが『この外人、なんで勝っているんだ』とすごく驚いていました。

パチンコと私は禅のようにつながっているように思えました。パチンコ店は自分の抱えているストレスや社会での立場を忘れさせてくれる場所です。大音量の音楽に囲まれ普段の生活から隔離されています。そこに存在するのは自分自身と機械だけ。日常から解放されリラックスするという意味では、誰しもそういう場所が必要だと思います。

禅という言葉を使いましたが、日本に来ないと分からないことで、海外の人の目には不思議な光景ですよね。暴力的な音の洪水、点滅する光の刺激。本当にカオスです。そんな中でなぜリラックスした状態に達することができるのか。私にとっては、ある意味、神の賜物と感じたものです。」

(略)

・現在、ヴェンダース監督は東京・渋谷区内に設置された公共トイレが舞台の映画を製作中である(タイトル未定、2023年公開予定)。

「日本ではトイレの文化が非常に深いところにあると思います。使う以上に、そこは休むところであり、リラックスするところ。そして非常に綺麗です。ヨーロッパの(公共)トイレは苦痛でしかありません。ロンドン、パリ、ベルリンのトイレに行ってみて下さい。極めて不快です。

トイレは誰もが行くところですが、他人を思いやる場所であり、禅的なことを感じます。

私の新しい“中毒”は、公共トイレの美しさなのです。」
https://www.fnn.jp/articles/-/443490