一つは知識だ、一方的に得るだけの知識は、
私の心の飢えを満たしてくれた、
知識に気遣いは不要だ、
時間のある限り私の中に好きなだけ与えることができたからだ、
もう一つはピアノだ、調律された音は、けんばんの正しい音を返してくれる、
そこに嘘はない、裏切りも失望もない、私をシクシクと音の流れに変換してくれる、
そのシステムが好きだった、一人が好きだった。