ワイ、左目に異能を発現してしまうwwwwww
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俺はなんのとりえもないフリーター29歳
職場ではこき使われ家にも居場所はない
人生とは何か、なんてぼーっと考える日々
異変を感じたのは秋の晴れた昼下がり
左のふくらはぎに違和感がある
まるで中に拳大の何かが入ってるような違和感
触ると、動く
触られまいと意志を持って逃げるように動く
いよいよ気持ちが悪くなってきた俺は病院に行こうとコートを探す
その時、声が聞こえた
「力を与えてあげる──」
現実と夢のどちらから聞こえたのかもわからない
困惑する間もなくふくらはぎの"何か"は動き始めた
足から腰へ、腰から胸へ
ちょうどリスかハムスターが這ってるようなそんな調子で動いている
気持ちの悪さが恐怖に変わりそれを追いかけてかきむしっていた手は顔に伸びる
止まった
左目の奥で何事もなかったように
状況に判断が追い付かず唖然とする俺
途端、左目が熱くなる
十数秒、熱さと恐怖と焦りにもまれた結果記憶が途切れた
目を覚ますと電気のついてない真っ暗な部屋にいた
あれから数時間意識がなくなっていたらしい
体を起こしてから数秒、さっきまでの謎の症状を思い出し思わず左目に手をあてる
だが、なんともない
そうだ、鏡
ふと思い出して洗面台に向かう
が、やはり異常はない 結局午後の睡魔が見せた幻覚だったのかなどと思考を巡らせる
一安心すると乾いた部屋に空腹の鐘が鳴る
思い返すと朝以降何も食べていない
まだ振り切れないもやついた気分にちょうどいいだろうと外に出ることを決める
冬のにおい漂う空気が茹だった頭をシャープにしてくれる
家から5分のコンビニに向かい歩き始める
2分ほど歩いたころ、道路を挟んだ歩道に数人の集団が見える
いや、数人の集団と一人
自身のなさそうなメガネの男を囲んで身長の高い男たちがけらけらと笑いながら迫っている
ここら辺ではよくあるカツアゲだ
数秒何も考えられず見ているとメガネの男がバッグから何か取り出した
ああ、財布だ
そう思うと悲しい気持ちもありながら解放されるんだろうという安心感も覚えた
でも違った
男たちはひったくるように財布を取り上げると他の奴がメガネを羽交い絞めにした
金だけで満足できる低級のクズじゃなかったみたいだ
一人ひとり道路まで出て助走をつけてから殴ったり蹴ったり
運よく轢かれちまえばいいのに、なんて空想に逃げる
その時少し耳鳴りがした、気がした
ハッとなった
どうせ俺じゃ助けられないし面倒ごとに関わりたくもない
現実の無力な自分を思い出したところでまた歩き始めコンビニへ向かう 目的地前の横断歩道を渡ろうとしたとき、ライトに照らされる
すぐそこのカーブでろくにスピードも落とさず曲がった車が振り返った俺の目に映った
どうして俺が、なんてどうでもいいことを思っていた
一瞬のあと、1mほど飛ばされた
いや、1mだけしか飛んでいなかった
どうやらブレーキの効きがよかったらしい
少し腕にじんじんとした感覚があるがあとは転んでできた足の擦り傷程度でほとんど無傷といえた
バタンと焦った音がして車を運転していたおっさんが飛び出してくる
必死で心配と謝罪を繰り返していたが俺の様子を見て安心したらしい
最後に念を込めて謝った後車に乗って走り去っていった
俺は不幸中の幸いだったなとため息をついて間近のコンビニに入る
さっきの事故なんてなかったかのようにこっちの方が高いだとか向こうは量が多いとか浅い理屈を並べながらパンとコーヒーをとりレジへ向かう
白い袋をぶら下げて店を出て、室内との寒暖差に身を震わせる
やけに騒がしい
うーうーとサイレンの音
後ろからは赤色灯がちかちかと点滅し目に悪い色あいを作り出していた
そんなことさして気にせずあること二分ほど
大型のトラックが向こう側の道路に止まってオレンジ色のランプを点滅させている
近くには人だかりができて騒がしい
その時左目がずきんと少し痛んだ
とっさに下を向いてまた顔を上げると誰かが担架に乗せられている
さっきの被害者のメガネだ
それとは別にブルーシートをかぶせられた担架がある
それもまもなく運び出されて車の中に乗せられた
数秒たってからそのシートの意味に気付きゾッとする
まさかあの時膨らませた空想が現実に…?
そう思うと胸がバクバクと鳴り始めた
また、声が聞こえた
そうだよ──
幻想だと思ってた声がまた聞こえ混乱する
君が願ったからだよ──
はっきり聞こえた声に今度はしっかり理解が追いついた 俺が…願ったから…?そう思うとさっきの軽い事故でぶつけた腕と擦り傷がジンと痛む
君が代償を払ったからね──
その時から俺は"力"を手に入れた
世を正す力を 俺はフリーターの29
ろくでもない人生を送っていた
完
ってことでいいか? ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています