安倍晋三元首相の後援会が「桜を見る会」の前日に主催した夕食会の費用補填問題で、政治資金収支報告書の訂正を巡る政治資金規正法違反容疑で安倍氏らを不起訴とした東京地検特捜部の処分について、東京第五検察審査会が、配川博之元公設第一秘書(63)と東京の秘書について、「不起訴不当」と議決していたことが弁護士らへの取材で分かった。特捜部は再捜査を迫られる。

 議決は2件で、いずれも9月27日付。安倍氏と後援会の会計責任者だった秘書については「不起訴相当」とした。

 費用補塡を巡って安倍氏側は、2020年12月に「安倍晋三後援会」の17~19年分の収支報告書を訂正した際、「前年からの繰越額」を増額して記載。安倍氏は、事務所に保管していた自身の預金が補塡の原資だったと説明しており、訂正は虚偽記載だとして弁護士らが告発していた。

 議決書によると、東京の秘書らは特捜部の調べに、議員会館事務所で管理していた小口現金から支払ったとし、帳簿は廃棄したと供述。特捜部は原資を特定することは困難と判断したが、議決は「廃棄したとするのは常識として信じ難い」と指摘。小口現金の管理状況や使途について「強制捜査を行って証拠収集などの捜査が尽くされるべきだ」とし、捜査は不十分だとした。

 安倍氏については、共謀が認められなくても「虚偽の内容とならないよう対応すべき政治的責任がある」と述べた。付言では、安倍氏事務所の一連の処理は同法の趣旨に照らして「不適切なものだ」と批判し、「同法の改正や厳格な運用などの対策が強く望まれる」と訴えた。

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