そういって、おじいさんは、売るはずだった笠をお地蔵様の頭にかけてあげました。
ところが最後のお地蔵様の分がひとつ足りませんでした。そこでおじいさんは自分のかぶっていた手ぬぐいをかぶせてあげました。

家に帰ったおじいさんを見て、おばあさんは
「あれあれ、ずいぶんとはやいのですね。かさはうれましたか?」といいました
おじいさんは、すまなそうに
「かさは、ひとつも売れんかった。もちも、まきも、買えんのでお地蔵様にかさこ、かぶせてやった」
と言いました
「それはそれはいいことをしましたね。」とおばあさんはわらっていいました。

その冬、一番はげしく吹雪いた夜があけた朝、
おじいさんとおばあさんは幸せそうに抱き合いながら
冷たくなっていましたとさ。