文化審議会は12日、名古屋市中区の名古屋テレビ塔(中部電力ミライタワー)を新たに国重要文化財(重文)に指定するよう、永岡桂子文部科学相に答申した。
全国のテレビ塔で重文指定は初めて。他に1件を国宝、8件を重文に指定するよう答申。近く告示され、建造物の重文は2557件(うち国宝230件)となる。

 名古屋テレビ塔は、テレビの本放送が始まった翌年の1954(昭和29)年6月に開業。国内初のテレビ放送用の集約電波鉄塔として誕生し、
名古屋の戦後復興のシンボルともなった。名古屋市中心部の久屋大通公園にあり、高さ180メートル。地上90メートルに展望台を備える。
開業当時は日本一高い自立式鉄塔で、「東洋のエッフェル塔」とも呼ばれた。

 通天閣(大阪市)や東京タワーを設計した鉄塔建築の第一人者で、建築構造学者の内藤多仲(1886~1970年)が最初に手掛けたテレビ塔として歴史的価値も高い。
名古屋に続き、56年にさっぽろテレビ塔、58年に東京タワー(国有形文化財)がそれぞれ開業。各都市のランドマークとなった。

 アナログ放送から地上デジタル放送への切り替えに伴い、2011年にテレビ電波塔としての役目を終え、観光タワーとして生まれ変わった。
21年に運営会社が中部電力とネーミングライツ(命名権)契約を結んだが、文化財としては「名古屋テレビ塔」で登録される。

 文化審議会はこのほか、江戸時代後期を代表する寺院建築の勝興寺(富山県高岡市)の本堂、大広間および式台を国宝に指定するよう答申。
外村家住宅新座敷をはじめとする10棟(滋賀県東近江市)などの重文指定も求めた。

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