0001風吹けば名無し
2022/10/04(火) 01:56:48.69ID:qzmzs61pMどうなってんじゃこりゃああとカサカサ動き回ってると、突然目の前の自分が立ち上がり始めて、口をもごもごしながら「ゴキゴキィ……ブリ?」と呟くのが聞こえた。うわああおれが喋ったあああと触覚をピンと伸ばしてカサカサ動き回ると、目の前の巨体が生まれたての子鹿のようではありながらも動き始めるのが見えた。
つるつるな床に滑っても諦めず懸命に足を動かして、棚の後ろに隠れたり椅子の裏側に捕まったりするんだけど、努力の甲斐なく捕まってしまう。大きな自分は口を大きく開いて、ゴキブリとなった我が身を呑み込もうとするのがわかった。
しかしそんなとき、ふたたび入れ替わりが起きた。視界に火花が散るような錯覚をしたあと、気付いたら自分の身体に意識が戻っていた。やったー戻ったー。
そう安心していのも束の間、口の中がバリボリして未知なる食感と味覚が口の中に広がった。わずかなスープとねちょねちょした異物感を覚えて、直後にこれはゴキブリだ!と思い出す。そしておれはゲロを吐いた。ただ不快な思いをして、トラウマの残る記憶となっただけだった。
というストーリー