障害者権利条約という条約をご存じだろうか。障害者差別を禁止し、健常者と同じ権利を守るため国が取り組むべきことを定めたもので、日本は2014年に締結した。条約をきちんと守っているか、国連が各国を審査することになっていて、8月にスイス・ジュネーブの国連欧州本部で、日本政府が初めてこの審査を受けた。審査に合わせ日本の障害者や家族、支援者が現地に渡航した。その数なんと約100人。他国と比べ異例の人数で、国連も驚くほどだった。

 「えくすきゅーずみー!」。慣れない英語を使いながら、会場に入る委員を一人一人呼び止める。立ち止まった委員には日本の課題について、英語で書いたチラシやポスターを読んでもらった。

 耳に障害があり手話を使う人は、まず手話通訳者が日本語で発話し、それを英語の通訳が委員に伝えるという方法を取った。話を聞いた委員は何度もうなずき、最後は笑顔で握手を交わした。

「少しでも勧告に自分たちの意見を反映してほしい」。それが、約100人もの人たちがわざわざスイスまでやってきた理由だ。渡航費は所属団体の積立金で工面したり、カンパやクラウドファンディングで集めたりした。

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