海賊って悪者だったんだ😲

https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1661736887&p=2
谷口:例えば、前作劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』のような、次から次へといろいろな海賊が出てきて、明るく、楽しく、お祭りムードのような作り方にすることも、可能と言えば可能だったと思います。ですが、今回の作品に入る時に、海外での『ONE PIECE』の捉え方を教えていただいた中で納得したことがありました。

それは、欧米、特にヨーロッパにおいては「海賊は悪だ」ということです。「その要素は抜きにしてはいけないのだろうな」と思いました。海賊は、ある人から見れば悪だし、荒くれ者だし、法の外にいる存在なんです。結果的に、そういった要素をより押す形で出てきてしまったんだろうと思いますね。

――今作はそういった海外の声も意識しながら制作されていったのですね。

谷口:「海外でも公開したい」ということでしたから、海外の人たちが見た時に、「この作品において、海賊というものを褒め称えるべき存在として描いているのか、必要悪的なものとして描いているのか」という作品のある種の哲学、思想を表す部分はしっかり伝えておかないといけないと思いました。

そこで、あのナレーションを冒頭に持ってきたんです。TVアニメではもっと明るく盛り上げる形ですが、今回のナレーションは、役者さんとも話をして、ニュートラルから始まって、次第にシリアスな方向に、という演出にしました。

――ナレーションの大場真人さんに指導をされたんですね。

谷口:というより、こちらの意図を先に察知しておられた、という感じですね。現場では、先に大場さんの方からも「ちょっといつものTVと変えた方がいいんだよね」と言われましたから。

――確かに、日本では海賊というものにあまりなじみがないですよね。

谷口:そうなんですよ。日本で海賊というと、とある宇宙海賊とか、良い人のイメージになりかねないんですよね(笑)。歴史的にいっても、戦国時代の村上海賊(※1)とか良く扱われることもあったりするので、どこか許してしまう部分があります。なので、日本国内だけの公開だったら、たぶん違う見せ方になったと思います。