そこに世界女王の貫禄はなかった。

 日本時間8月31日、大坂なおみ(24=世界ランク44位)がテニスの全米オープン(OP)の女子シングルス1回戦でストレート負け。7年連続で出場し、2018年と20年に優勝した同大会で初の初戦敗退となった。

 過去2勝の全豪OPは3回戦敗退。5月の全仏OPで初戦敗退すると、左アキレス腱の負傷を理由に6月のウィンブルドンを欠場。8月のムバダラ・シリコンバレー・クラシックで復帰するも2回戦で姿を消し、続くナショナルバンクOPは、1回戦で途中棄権だった。

 大坂に何が起きているのか。スポーツライターの武田薫氏が言う。

「今回の惨敗は驚かない結果でした。プレーもチーム体制もつながりを欠いていましたから。今年7月にウィム・フィセッテ・コーチとの契約を解消。5月には専属フィジカルトレーナーだった中村豊氏がチームから離脱した。テニスは個人スポーツだが、チーム体制が非常に重要。コーチやトレーナーは練習だけでなく、日々のスケジューリングや戦略、体をつくり上げるフィジカルトレーニングのプランニングも担う専門職でもある。大坂の場合、現場で世話をする個人マネジャーすらも不在。テニスに不可欠なチーム体制が崩壊しているのが現状です」

■代理人とマネジメント会社を設立

 大坂は今年5月、長年にわたって代理人を務めているスチュアート・デュギッド氏と新たなマネジメント会社「Evolve」を設立。それまで所属していたIMGから離れたことで、中村トレーナーとの関係も解消した。
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「大坂自身に『今後どうなっていきたいのか』という明確なビジョンがなければ、優秀なコーチはつかない。今後はテニスから距離を置いたビジネスを考えているのか、このままの状態を続けるのか。それもメンタルの状態次第でどうなるか分からないとなれば、ある意味、お手上げ状態ともいえます」(武田薫氏)

 今月19日開幕の東レパンパシフィックOPには出場予定。「五輪は無観客で寂しかった。日本のファンの前でプレーできるのは本当にうれしい」と本人は意欲的だが、新体制が整うまでには、まだまだ時間がかかりそうで、本来の姿は見られそうもない。

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