障害者雇用「本当の困難はこれから」「人材の奪い合い」 大量退職受け

毎日新聞が主要企業126社を対象にしたアンケートで、回答した企業104社のうち半数近くが身体障害のある従業員の退職が相次ぐと回答し、「大量退職時代」が到来していることが分かった。企業は代わりとなる人材確保に苦慮している様子が浮かび上がる。【山縣章子、山田奈緒、奥山はるな】

◆退職後の人材確保に苦労

 「本当の困難はこれから訪れる」。自動車メーカー幹部はこう漏らし、身体障害者の退職後、精神障害者や知的障害者を雇い入れる難しさを実感している。法定雇用率の維持に向け「まさに正念場だ」と打ち明ける。

 このメーカーでは、身体障害の一つ、聴覚障害者を工場現場で雇うことが障害者雇用の始まりだった。幹部は「工場の騒音を気にせず作業でき、電話対応もない。事務より工場が向いていると考えていた」と解説する。入社後に事故や病気で障害者手帳を取得した社員も加え、法定雇用率を達成してきたという。

 ただ、1976年の法定雇用率創設から半世紀近くが経過し、身体障害のある従業員らが定年などを迎え退職する時期に差し掛かる。代わりとなる障害者を雇い入れようにも…

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