覚醒剤1.7億円分密輸容疑 81歳の組員が73歳組幹部に手渡しか

約1億7千万円相当の覚醒剤を化粧品入りの箱の底に隠して密輸したとして、警視庁は、指定暴力団稲川会系幹部の三條功容疑者(73)=横浜市=や極東会系組員の高橋寿雄容疑者(81)=神奈川県秦野市=ら5人を覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)と麻薬特例法違反容疑で逮捕し、31日発表した。全員容疑を否認しているという。

 薬物銃器対策課によると、5人は今年6〜7月、空路を使い、フランスから米国経由で成田空港に覚醒剤約3キロ(末端価格約1億7700万円)を密輸した疑いがある。東京税関が貨物を検査した際、二重底になっている四つの箱を発見。化粧品の下にアルミ箔(はく)に包まれた覚醒剤が見つかったという。

 同課や東京税関がこの貨物の行方を追ったところ、東京都板橋区内のアパート一室で高橋容疑者が受け取ったことを確認。その後、高橋容疑者が三條容疑者に手渡したこともわかったという。

 同課によると、コロナ禍による規制で国をまたいだ人の往来が難しくなったことを背景として、貨物に覚醒剤を隠して空路や海路を使って密輸するケースが増加。東京税関から通報を受けた警視庁が捜査した件数は2019年は29件だったが21年は51件になり、今年は31日現在で55件に達しているという。(土舘聡一)