Mori Calliope、星街すいせい……VTuberのメジャーデビューが音楽シーンにもたらすもの
柴那典
8/11(木) 11:58

■VTuberに音楽業界から熱視線
今、VTuberのメジャーデビューが相次いでいる。VTuber事務所「ホロライブプロダクション」の英語圏向けグループ「ホロライブEnglish」に所属するMori Calliopeは2022年4月にユニバーサルミュージック・EMI Recordsからメジャーデビューし、7月20日にメジャー1stEP『SHINIGAMI NOTE』をリリース。
Mori Calliopeと同じく「ホロライブプロダクション」に所属する星街すいせいは、サウンドプロデューサーTAKU INOUEとのユニットMidnight Grand Orchestraとしてトイズファクトリー・VIAから今年3月にメジャーデビューし、7月27日に1stミニアルバム『Overture』をリリースした。

なぜ音楽業界からVTuberへの熱い視線が集まっているのか。その一つの理由は人気と影響力の大きさにある。Mori CalliopeのYouTubeチャンネル登録者数は200万人を超え、星街すいせいは150万人超え。他にもホロライブには数多くの人気VTuberが所属している。
ゲーム実況や雑談などを中心にライブ配信で確固たるファンベースを築き上げる一方で、「歌ってみた」動画の投稿やオリジナル曲の発表など音楽活動に力を入れるVTuberも増えてきた。

そしてもう一つの理由は、高い歌唱力やアーティストとしての表現力にある。Mori CalliopeはVTuberとしての活動開始からまもなく「失礼しますが、RIP」などのオリジナルソングを立て続けに発表。切れ味鋭いラップのスキルだけでなく、自ら作詞や作曲を手掛ける楽曲のクオリティも高い評価を集めてきた。

■ボカロPなどクリエイターの新たな活躍の場に
見逃せないのは、こうしたVTuberの音楽活動が、ボカロPなどネットカルチャーから活動領域を広げるクリエイターたちにとっての新たな活躍の場となっていることだろう。「Q」や「CapSule」は人気ボカロPのDECO*27が作曲を担当。「Wicked feat. Mori Calliope」はGigaが作編曲を担当している。

Midnight Grand Orchestraにおいても、TAKU INOUEと星街すいせいがクリエイティブな結託を果たし、SF的な世界観を持ったコンセプチュアルな作品を作り上げている。

他にも、2019年のメジャーデビューから3周年を迎えたときのそら、オリジナル曲「#あくあ色ぱれっと」がTikTok2022上半期トレンドにノミネートされ、じんが作詞作曲を手掛けた「未だ、青い」を8月8日に発表した湊あくあなど、注目の存在は数多い。VTuberがヒットチャートを席巻する日も近そうだ。

https://news.yahoo.co.jp/byline/shibatomonori/20220811-00309778