店に足をふみいれた瞬間、いつものホームとは違う空気に凍りついた。
「ロット神様が・・・怒っている!?」
おれは素早く店内をみまわし、ロット神の怒りの元凶をみつけた。
色白の細身の少女。
食券は大豚ダブル。
こんな少女が1.8ロット以内に食べきれるとはとても思えない。
いや、何ロットかけようが食べきれまい。ギルティ──。
カウンターの豚どもはすでに怒り狂っていた。
ひときわデブな豚が口火をきって吼える。
「おうおう、なんだあの人間は!?くいきれもしねーくせに大豚ダブルだぜ!!」
少女はびくっと身を震わせ、しかし気丈にも問い返した。
「だったら何なの?」
豚どもがいっせいに吼える。
「ロットが乱れるんだよ!」
「女は二郎にくるな!」
「ロット神様がお怒りになるのだ!」
いけない、豚たちが暴走している。止めなきゃ。
しかし俺の焦燥とは裏腹に、少女は静かに豚たちに問う。
「じゃあ私がロットバトルに勝てばいいわけね」
一瞬の静寂。