0001風吹けば名無し
2022/07/31(日) 14:28:07.47ID:TWGmH1Qi0先発小モルトケが大量失点、カイザーシュラハト攻勢も勢いを見せず惨敗だった
参謀本部に響く将校のため息、どこからか聞こえる「今日はドイツ陸軍暗黒の日だな」の声 戦線が崩壊していく中、第三代ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世は独りスパの大本営で泣いていた。
世界政策で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できる宰相・・・
それを今のドイツで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」ヴィルヘルムは悔し涙を流し続けた どれくらい経ったろうか、
ヴィルヘルムははっと目覚めた どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たい玉座の感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、亡命の準備をしなくちゃな」
ヴィルヘルムは苦笑しながら呟いた 立ち上がって伸びをした時、ヴィルヘルムはふと気付いた 「あれ・・・?臣民がいる・・・?」
玉座から飛び出したヴィルヘルムが目にしたのは、地平線まで埋めつくさんばかりの群衆だった。
千切れそうなほどに帝国旗が振られ、地鳴りのように「皇帝陛下万歳」が響いていた。
どういうことか分からずに呆然とするヴィルヘルムの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「ヴィルヘルム、戦勝パレードだ、早く行くぞ」
声の方に振り返ったヴィルヘルムは目を疑った 「と・・・父さん?」
「なんだ若造、居眠りでもしてたのか?」 「ビ・・・ビスマルク?」
「なんだヴィルヘルム、かってにビスマルクさんを引退させやがって」
「おじい様・・・」
ヴィルヘルムは半分パニックになりながらスコアボードを見上げた。
1番:シャルンホルスト
2番:グナイゼナウ
3番:ヴィルヘルム1世
4番:大モルトケ
5番:ビスマルク
6番:内川
7番:ローン
8番:シュリーフェン
9番:フリードリヒ3世
暫時、唖然としていたヴィルヘルムだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
ヒンデンブルクからサーベルを受け取り、前線へ全力疾走するヴィルヘルム、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・
革命後、餓死して冷たくなっている内川が発見され、吉村と村田は西部戦線の野戦病院内で静かに息を引き取った