それは、彼が日本に帰国しているときに起こった。
山手線にいつもの黄色いパーカーとジーンズを履いて乗車したひろゆきは、貴文と待ち合わせている銀座に向かう。
その電車内で、彼は自身の尻に違和感を覚えた。

「(う……、なんかケツにもの当たってる?)」

当然、ひろゆきは男であるので、まさかこれが痴漢であるとは思いもしなかった。
だが、執拗に菊門にせまり、指四本を束ねたほどの大きさをした“モノ”が生物的な動きをして――そして、なによりも後ろで息遣いを荒くしながら臭い呼気を吐き出す男によって、ひろゆきの予想も見事に打ち砕かれることとなる。

「あ、あの……なんだろう、もうすこし離れていただいてもいいですか?」

いつのまにか菊門のすぐ侵入できるような位置に指がある。それが彼の性感帯を掻き乱し、不覚にも快感を感じてしまったひろゆきは堪らず小声でその男に呼びかける。

「はぁはぁ……本物のひろゆきだ……」