「都下悪説流布して、牛痘は益無きのみならず…
https://mainichi.jp/articles/20210630/ddm/001/070/110000c

 「都下悪説流布(るふ)して、牛(ぎゅう)痘(とう)は益(えき)無きのみならず、却(かえっ)て児体に害ありといひ、之(これ)(種痘の効能)を信ずるもの一人もこれ無きに至れり」。幕末の大坂で種痘を広めた蘭方医の緒方洪庵(おがたこうあん)は当初、風説に苦しめられた。

「種痘を打てば牛になる」がその最たるものだが、この風説、18世紀末英国でジェンナーが種痘を始めた時からあった。ジェンナーに反対した医師は種痘で牛のような顔になったり、牛の毛が生えたりした“症例”があると主張した。