法律で同性愛を取り締まるタンザニアから逃れてきた兵庫県在住のゲイカップルが、日本で難民認定を求めている。2人は「帰国すれば終身刑の可能性がある」と訴えるが、
既に2回の申請を却下された。国内では2018年に初めて同性愛への迫害を理由にした難民認定が出たものの、同様の事例は少ない。
専門家は「日本だと想像しにくいが、アフリカ諸国では同性愛者に対する政府や市民の迫害があり得る」と指摘する。(井沢泰斗)

 難民認定を求めているのは、「特定活動」の資格で日本に滞在する三木市の20代男性と稲美町の40代男性。
2人は17年ごろ、タンザニアの都市ダルエスサラームで知り合い、交際を始めたという。

 2人や支援者らによると、三木市の男性は19年、別の男性と性交渉をした容疑で現地警察に逮捕された。
タンザニアでは男性同士が性交渉した場合、終身刑か30年の懲役刑が科される。

 母親の助けで保釈された男性は仕事で取得していた短期商用ビザを使い、20年1月に日本へ逃れた。その後、同時期に来日した稲美町の男性とともに、
名古屋出入国在留管理局(入管)と大阪入管神戸支局に難民認定を申請。しかし、タンザニア警察による捜査や政府の迫害を受ける恐れがあるとの訴えが
「信ぴょう性が認められない」とされ、却下されたという。

 2人は知人を通じ、在留外国人らの支援に当たる「神戸移民連絡会」(神戸市中央区)に相談。同会は「彼らは同性愛者であり、タンザニア政府は同性愛者を取り締まっている。
客観的に帰国すれば危険なことは明白だ」とし、3回目の申請に向けて準備を進める。

 専門家によると、アフリカ諸国では政府だけでなくLGBTなど性的少数者に対する市民の反発も強く、本人や家族が地域社会で迫害されるケースが実際にあるという。


https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202207/0015491985.shtml