「留萌本線」23年区間廃止に現実味 存続にこだわらない留萌市

■ 留萌市が鉄道存続にこだわらなかった“もっともな事情”

 留萌市が他の沿線自治体と一線を置いた背景には、市内区間で日常利用の実態がほとんどなく、鉄道の存続運動が盛り上がらなかったことが挙げられます。

 留萌本線を存続した場合に予想される年間9億円以上の支出のうち、留萌市は6億円の負担を求められていました。この状況もあって、先に触れた通り2021年に「他の自治体とは距離を置く」(中西俊司留萌市長)として、検討会議を離脱するに至ったのです。鉄道維持の負担額が大きい割に、留萌市内での今後の活用が限られているという状況がありました。

 また留萌市は留萌駅の跡地を体育館や文化センターなどに活用するプランも持っており、検討会議の離脱後に行われた市長選でも、訴えられたのは転換バスの整備など留萌本線の存続問題の“解決”、そして「道の駅るもい」(2020年開業)の活用など。留萌市はすでに、鉄道の存廃から次の段階に進んでいる感があります。