松野官房長官は20日の記者会見で、サハリン島南部で発見された男性の遺体について、ロシア政府から19日、日本側が提供した乗船者のDNA型と一致したと連絡があったと明かした。
その上で、松野氏は「人道的観点から一日でも早く遺体の引き渡しを実現できるよう、ロシア側と調整を進めていく」と強調した。

日本政府は事故直後から、モスクワの日本大使館やサハリン州の日本総領事館を通じて、ロシア側とやり取りしてきた。
今回、DNA型が一致した男性のほか、5月に北方領土・国後島西岸で見つかった男女2人も、日本側が提供した乗船者のDNA型と一致したことが確認されている。

外務省によると、通常は身元確認後、速やかに母国への帰還手続きが取られるが、「ロシア側が空路での搬送に難色を示している」(日本政府関係者)という。
日本側は、北海道と国後島の間の中間の洋上で、遺体を引き取る案をロシア側に打診したが、これにも難色を示し、実現していない。

ウクライナ侵略を契機とする日本の対露制裁などで、日露関係が悪化していることも影響しているとの指摘があり、引き渡しの時期は見通しが立っていない。

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